こんにちは。 元オーディオショップ店員のばっちゃん(@iine_me)です。TANNOYのスピーカーTurnberryのレビューです。実はこの記事の為に試聴をしたわけではなく、以前にじっくりとサウンドチェックをしたときの印象を思い出して書いています。最近いろいろなメーカーのスピーカーを聴くうちに改めて良いスピーカーだと思い記事にしました。
記事の目次
TANNOY(タンノイ) Turnberry/GR(ターンベリー)レビュー
タンノイのプレステージシリーズにラインナップされるTurnberryですがGR(ゴールドリファレンス)と記載されています。
タンノイの正統なる本流を担うプレステージシリーズは、ゴールドリファレンス(GR)の名のもとに新たな幕をひらきました。1967年の「モニターゴールド」誕生から45年、その進化のすべてを注いで「ゴールドリファレンス」デュアルコンセントリックの誕生です。(出典:https://www.esoteric.jp/)
みなさんタンノイのサウンドってどんなイメージがありますか?私はオールドタンノイ(1974年以前の製品をそう呼ぶそうです)の音は聴いたことがありませんが、響きがよく甘めのサウンドが鳴るイメージを持っていました。また、見た目が他社の現代的なスピーカーと全く異なり古き良き時代を思わせるスタイルから音もそんな感じなのかと思っていました。しかしやはり現代の技術力でデザイン、チューニングされたモデルなのでサウンドチェックしたときには自分のイメージとはずいぶん違う印象を受けました。その魅力に迫ってみたいと思います。
デュアルコンセントリック(同軸2WAY)ユニット搭載
まず大きな特徴としては同軸2WAYユニットがあげられます。同軸ユニットの優位な点としては他のマルチウェイスピーカーと違い、まさに一箇所から音が再生されることにより点音源となり明確な定位が得られることです。一般的にコンパクトなブックシェルフスピーカーのほうが大型のトールボーイスピーカーよりも定位が優れているのと同じ理由です。同軸ユニットは再生時の歪が出やすいので設計が難しく、精度も求められるため大型スピーカーで採用するメーカーはほぼありません。タンノイは昔からこのスタイルですので他社には簡単に真似できない大きなアドバンテージがあります。サウンド、見た目共に他社のスピーカーでは替えがきかず、タンノイファンの方はずっとタンノイを買い続ける熱狂的な方がいらっしゃるのが納得できます。
ツイーターとウーファーが同一軸に配置される同軸2WAY方式で点音源を実現
バイワイヤイング対応
バイワイヤリング対応で高域用(HF+/HF-)と低域用(LF+/LF-)の端子だけでなくアース端子がありパワーアンプとのアース接続ができます。アース端子のあるスピーカーは珍しく、音へのこだわりが感じられます。
DPS(ディストリビューテッドポートシステム)
エンクロージャー前面の両サイドに入るスリット開口部がバスレフポートです。密閉型のようなフラットで解像度の高い特性とバスレフ型の低域の伸びを両立しています。
レベルコントロール
ヘアライン仕上げの美しいゴールドのレベルコントロールプレートです。ピンを刺す位置でツイーターのレベルを±3db調節可能です。
突板、オイルフィニッシュのエンクロージャー
タンノイのスピーカー全般に言えることだと思いますが特にTurnberry/GRをはじめプレステージシリーズは仕上げが美しく独特な雰囲気があります。無垢材、アメリカンウォルナットの突板仕上げ、職人によるオイルフィニッシュ。まさに高級家具の佇まいです。スピーカーは見た目も大切ですが、唯一無二の存在です。特にツヤのある仕上げが多い現代のスピーカーの中でオイルフィニッシュのこの質感を持つものはタンノイのスピーカーくらいじゃないでしょうか?
ここまでの画像を見ていかにTANNOIが細部のデザインまでこだわってスピーカーを制作しているかが感じられると思います。いちいち上質で美しく、素晴らしいですね。もちろんそれは音にも反映されています。
Turnberry/GRの音質レビュー
それでは音質のレビューです。まず第一印象としては、はっきり明瞭なサウンドで解像度も高いと感じました。しかしただ解像度を求めたモニター的なサウンドではなく、エンクロージャーの響きも加わり温かみがありながらも適度なスピード感やパワー感を感じられる絶妙な仕上がりでした。もちろん同軸ユニットならではの定位の良さ、音の粒の明確さもあります。以前勤めていたオーディオショップでの試聴でしたが、その日は営業しておらず、オーナーに許可をもらい店には私一人でひたすらいろいろなスピーカーやアンプを試していました。何曲もソースを変えて試聴しましたが、聴けば聴くほど魅力的に感じていきます。当時はまだオーディオ体験が少なく、高解像度、超ハイスピードで高音のキラキラしたアンプやスピーカーが自分の好みでしたがTurnberry/GRやKensington/GRのサウンドに触れオーディオの新たな魅力を感じ自分の好みの世界を広げてくれたのを鮮明に覚えています。鋭すぎず、甘すぎず、また鋭さも甘さも兼ね備えたそんなバランスのとれたスピーカーです。
一言でいうなら懐が深く”大人”の色気を感じるスピーカー
Turnberry/GRの評価
ターンベリーの実売価格はペアで70万円程度です。いいお値段ですね。このクラスになるとやはりクオリティーの高いものが手に入りますね。ターンベリーに関してはサウンドと仕上げの美しさやオリジナリティーから他のスピーカーとの比較ではあまり迷うことは無いような気がします。迷うとすれば同じタンノイのKensington/GRやStirling/GRでしょうか?オーディオという趣味においては解像度や写実性を求めていくともっともっとと上を目指して沼にはまっていく気持ちが良くわかります。タンノイのスピーカーはそんな世界とは一線を引いた到達地点へと一気に連れて行ってくれる選択だと感じています。「もっと良いものがあるんじゃないか?」じゃなくて「もうこれでいいじゃないか」と思わせてくれるタイプのスピーカーだと思いました。
TANNOY プレステージシリーズターンベリー TURNBERRY/GR
最後に
TANNOYのスピーカーは他社のスピーカーと比べて特徴的な仕上げやサウンドを持っています。その魅力はオーディオに長く触れてきた方こそよくわかるような気がします。ショップに勤めていた時もタンノイをご指名で試聴にいらっしゃるお客様は知識も経験も豊富なベテランのオーディオファンの方が多かったです。本当に素敵なスピーカーなので気になった方がぜひ試聴されることをおすすめします。
スピーカーやアンプのポテンシャルを引き出すセッティングに関する記事をまとめましたので合わせてご確認ください。
皆様が良い音楽と過ごせますように。