元オーディオショップ店員のイイネドットミー(@iine_me)です。
みなさんはスピーカーケーブルの末端処理はどうされていますか?もちろんスピーカーケーブルの導線をそのまま機材に接続しても何も問題ありません。
しかしバナナプラグ、Yラグといったケーブルの末端プラグが存在する以上気になりますよね?今回は様々な種類のバナナプラグやYラグの音質を比較したのでその詳細を書いていこうと思います。
記事の目次
バナナプラグのおすすめ紹介!11種類の音質を比較レビュー!
バナナプラグとはスピーカーとアンプを接続するスピーカーケーブルの末端処理の為のプラグです。
スピーカーケーブルの被膜を剥いただけの状態だと、導体の酸化により経年とともにパフォーマンスが落ちてきます。プラグをつけることにより酸化を多少抑制する効果もあり、高品質なものなら音質アップにもつながります。
また、ケーブルの抜き差しが容易になるので機材の入れ替え時に苦労しなくなります。
しっかりと固定されるので意図せず機材が動いてしまいケーブルが抜けてショートしてしまうといった事故も防ぐことができます。また、がっちり固定することは振動が抑制されるので音質面でもメリットです。
そんなメリットが盛り沢山のバナナプラグですがもちろん使用することでスピーカーケーブルの素の音から変化してしまいます。
ただしこの変化は必ず悪い方向に向かうわけではないので自分の好みに合ったバナナプラグを選ぶことで、便利なだけでなく、より高音質で音楽を楽しむことができるのがバナナプラグの最大のメリットです。
しかしオーディオショップでも実際に様々なバナナプラグを繋ぎ変えて音質の比較をすることは難しいです。いくつかのモデルを用意して私の自宅でじっくり時間をかけてチェックしてみたのでその音質も交えてご紹介します。
バナナプラグはケーブルの酸化防止、振動防止、抜け落ち防止、着脱が容易、さらに高音質化も狙えるマルチプレーヤー
バナナプラグの種類
バナナプラグにはいろいろな形状のものがあります。
まずはその種類の解説から始めたいと思います。
板バネスリット式
プラグの中心が少し膨らんだ形状になっています。
バネのように膨らんでいるので固定されますが、繰り返し抜き差ししていると徐々にへたってきます。
自宅では頻繁に機材をつなぎかえることはないという方におすすめです。バネの盛り上がった部分だけが受け側と接触するので接触面積は小さめです。
緩んできたと感じたら交換のタイミングです。
形状は一番バナナっぽい。繰り返しの利用には注意
波型スリット式
プラグの金属部分に波型のスリットが入ったタイプです。
繰り返しの抜き差しにも問題なく耐えられる耐久性です。全体が受け側と接触するので接触面積は大きいです。
がっちりホールドされ音質的にもメリットがあります。
抜き差しにも強くホールド力も問題なし
ねじ式
プラグのネジを回すことによって先端が開いて固定されるタイプです。
波型スリット式よりもさらにホールド力があります。プラグの形状の特性としては一番音質的に優れているものが多いです。
高級モデルに採用されることが多い安心の形状
バナナプラグの材質
バナナプラグも当然メッキの種類によって音の特性が違います。それぞれの特性を見ていきましょう。
金(ゴールド)
金メッキは他のプラグでもよく見られるオーソドックスな仕上げですね。
音質的には少しやわらかい感じになります。
オーディオでよく使われている素材なので相対的に特徴的なキャラクターは感じにくいかもしれません。金メッキは劣化しにくいので長期的に安定した音質が得られるでしょう。
長期間の使用にも劣化が少なく柔らかめの音色
ロジウム
ロジウムメッキは高級ラインで採用されていることが多いです。
実際に同じ製品でも金メッキとロジウムメッキを比べるとロジウムの方が高価です。ロジウムの特徴としてはシルバーと似ていて、高域が華やかになったり解像度が上がったような印象を受けると思います。
金と比べると、
金 - やわらかくてあたたかい音
ロジウム - 華やかで高解像度
のような感じです。
華やかさを求めるならおすすめの高級素材
銀(シルバー)
銀はラインケーブルやスピーカーケーブルで使われることもあります。
音の方向性はロジウムに近く、高域が華やかになりますがややクールで硬質な音になります。
ロジウムメッキは音に色付けがあるなど賛否両論ありますが、個人的には銀よりロジウムをおすすめします。
ロジウムメッキのものは高価格のものが多く、それなりにチューニングされたものが多いためです。
シルバー特有のギラつく高域とやや奥に控える中低域
ニッケル
ニッケルメッキはオーディオでも様々なところで使用されている一般的なメッキです。
一番スタンダードというか基準となる音だと思います。
これを基準とすると金は華やかでレンジの広い音に感じます。
音質だけで言えば非メッキを好む方もいますが、あえてニッケルメッキを選ぶとすれば非メッキより耐久性が上がるくらいでしょうか。
ニッケルは安いプラグによく使われますが音質的に優れているといったものではない気がします。
中庸な音質を求めるならニッケル
バナナプラグの使い方
バナナプラグはスピーカーケーブルの被膜を剥いた末端に取り付けます。
プラグとケーブルとの接続は、ネジで締めるだけのものも多くあります。
ハンダ付けができるものは導体の酸化防止や接触の面から見るとおすすめです。
その反面ハンダによる導通劣化やハンダによる音質の変化もあるので一長一短です。
半田ごての有無や手間も考えて好みのタイプを選んでください。
バナナプラグの比較試聴レビュー
バナナプラグは高品質なものを使うと音質アップにつながります。
逆に音響のことを考えずに作られたものの中には音を悪くするだけのものもあります。
その場合は裸のスピーカーケーブルを使う方が音質的には優れています。
実際に同一環境で試聴をした感想を書いていきます。
(11種類を試しましたがすべては書き切れていないので順番に追加していきます。)
Nakamichi ナカミチ Nakamichi 24K 金メッキ バナナプラグ
アマゾンのランキングに入っていたのでおそらくかなりの量が売れているナカミチのバナナプラグ。非常に安価で私が購入したときには8本で740円送料無料でした。
販売されるショップはアマゾンに販売手数料、梱包、発送、保管の手数料を払って送料込みで1本100円以下!原価いくらでしょうか。。
音質としては中域に強めの癖があります。原音からの変化が大きくかなり違和感を感じます。
正直全くおすすめはできず、位相が狂っているような奇妙なサウンドで1分も耐えられず試聴を中止してしまいました。
アマゾンレビューでは好意的なものも多いのと同一ページでいくつかのセラーが販売しているのでもしかしたら本物、偽物などあるかもしれませんが私が購入したものは間違いなくNGな音質でした。
セラーによっては同じ見た目で音質の良いものがあるのでしょうか?ただ、購入される場合は要注意です!
外れ?が届くと非常に残念なサウンド。お気を付けください。
Amazonベーシック バナナプラグ スピーカーコネクター
アマゾンベーシックのバナナプラグがあったのでこちらも比較に加えてみました。
以前アマゾンのスピーカーケーブルもどんなものか試しに買ってみましたがその音質は全く良くありませんでした。
しかし今回のバナナプラグは価格と以前のスピーカーケーブルの経験から想像するよりは良いサウンドでした。
カチッとした印象の音ですが音像が広がりすぎて少し飽和する場面もあります。しかしステージは広めなのでスケール感は出ます。
中高域に独特の癖を感じ、曲によってはうるさく感じます。特に女性ボーカルは軽くなり違和感があります。全体的な迫力も薄れるので音質的にはデメリットの方が強く感じます。
価格は私が購入した際には6ペア(12個)で1,180円送料無料。こちらも100円以下ですがナカミチのバナナプラグを購入するよりは確実に安心できます。
予想より良かった。音質は劣化を感じる。
Amazonベーシック バナナプラグ スピーカーコネクター 6ペア
AEC BP-208CG 金メッキ波形バナナプラグ(2個1組)
台湾のメーカーAECのバナナプラグです。
コンタクト部分が接触面積が広い円筒波型スリット構造。
接点部分を多く取れる為、音の情報も通常のバナナプラグよりも多く確保できます。
価格は2個で594円と格安です。縦方向の空間のレンジが狭くなりドライなサウンドになります。音像も少しコンパクトになるように感じます。
オヤイデ電気で購入できます。
音質劣化はあるがコスパ抜群のバナナプラグ
audio-technica ソルダーレスバナナプラグ AT6301 (4個1組)
オーディオテクニカのバナナプラグです。
ソルダーレス(無ハンダ)で使い勝手の良いタイプです。
ボディーは樹脂製で軽く、+と-が触れてしまってショートする危険性も少ないです。
音質的には縦方向の音場は広いですが左右の広がりが狭めです。中域寄りのバランスで高域の空気感の表現は苦手です。
価格は4個1組で約1,400円。
定番 お手軽なバナナプラグ
audio-technica ソルダーレスバナナプラグ AT6302 (4個1組)
お手頃価格で高音質なバナナプラグです。
こちらも非常に人気のモデルで多くの方が使っています。
AT6301と同じようにソルダーレスでケーブルとの接続が非常に簡単です。
安価な割に質感も良く、音質の劣化が少ないです。
AT6301とAT6302の価格差は僅かですが音質の傾向は違います。AT6302の方がサウンドステージも広く、中広域の空気感の表現も一枚上手です。
価格は4個1組で約1,500円。
バナナプラグの入門にもおすすめ
AECO ABP-1111G 純銅24金メッキ バナナプラグ The SPIRAL
台湾のプラグメーカーAECのハイエンドブランドAECOのバナナプラグです。ゴールドメッキ、シルバーメッキ、ロジウムメッキが用意されていますがゴールドとシルバーのみ試聴しました。
ABP1111Gは中低域の切れが良くなり音の粒立ちも良くなります。前後の奥行きも生まれは迫力が出てきます。効果としてはうっすらコンプがかかったように残響成分が整理されるので聴きやすく、空気感や倍音はしっかり出るので音楽的なサウンドだと感じました。
AECO ABP-1111S 純銅銀メッキ バナナプラグ The SPIRAL
ゴールドよりも硬い音で私の好みに合っていました。粒立ちが非常によく音にみずみずしさを感じます。
解像度が高く現代的な表現が好きな人にはおすすめできます。エレクトリックなサウンドとも相性が良くシャープでスピード感があります。
重心は高めなのでどっしりした低音が好きな方はゴールドメッキのABP1111Gがおすすめ。
Techdas Spuper BANANA (4個1組)
TechDAS(テクダス)は、株式会社ステラが企画・開発・製造を行なう自社ブランド製品です。
超重量級、ハイエンドなアナログプレーヤーのラインナップが充実しているブランドですが、とことん探求されたオーディオ哲学と洗練された加工精度により生み出されるバナナプラグも好評です。
バナナプラグのラインナップとしてはSuper BANANAとSpade BANANAが用意されています。
ロジウムメッキのネジ式バナナプラグでがっちりホールドできます。
また、どちらもプラグの後方に穴が開いている構造でプラグ同士を連結することができます。これによりアンプ側にスピーカー出力が1系統しかない場合でも配線を分けてバイワイヤリングが可能です。
Spade BANANAに関してはYラグと言われる端子からバナナプラグに変換する際にも使えます。
バナナプラグは音質に悪影響がでることもありますが、Spade Bananaはホールド性の向上により音質アップが期待できます。
価格は4個で18,000円ほどです。
利便性だけではなく高音質を目指してバナナプラグを採用するのであればこのクラスの製品をおすすめします。
広がるサウンドステージ。高解像度で見通しの良いサウンド
ACOUSTIC REVIVE バナナプラグ(4個) RBN1(4個1組)
究極の導通性能
接続端子部分には導通性に優れた鉛レスの黄銅素材を研磨したものを使い、表面にロジウムメッキを施しています。さらに本体とケーブル固定用ネジにはマイナス196℃の低温処理をして導通性能を高めています。
非磁性体構造
本体、ネジ、メッキなどすべての素材に非磁性体を使用しています。ネジに鉄を使用したりメッキ下地として一般的なニッケルメッキを使用すると電流により磁気歪が発生します。RBN1は非磁性体にこだわり磁気歪の一切ないバナナプラグです。
導通性能が高いネジ留め方式
ケーブルとバナナプラグの接続は接触面積が大きくがっちりと固定されるダブルネジ留め方式を採用。ソルダーレス(はんだ付けしない)なので導通性能の低下や圧着方式のように接触面積が小さいことによる不安定さを回避しています。
制振構造
航空機グレードの2017Sアルミ合金製制振キャップを装着し、制振効果を発揮します。もともと振動抑制効果の高い2017Sを黄銅と組み合わせることによって減衰特性をさらに向上させています。スピーカー端子やケーブルの振動も抑制するため音質アップに貢献します。
高音質なオーディオケーブルや電源環境の改善アクセサリーなどを製作するアコリバなので信頼性は抜群。
上記のような工夫や試行錯誤の結果スピーカーケーブル単体で使用する場合よりも音質の向上が期待できます。
華やかで解像度の高い音質です。
価格は4個で15,000円程度。
クリアで実在感のある音。重心が下がりどっしりとしたバランス
まとめ
オーディオにはいろいろな楽しみ方があると思いますが、何をしても音が変わるのがオーディオの魅力でもあります。
お財布との相談にはなりますが細部までとことんこだわることで音は確実に変わっていきます。その変化が好ましいものかどうかはリスナーそれぞれのもつ感性によりますのである程度の試行錯誤は必要だしそれもオーディオの楽しみの一つだと思います。
私の好みの音質が万人の好みと一致することはありませんが同一人物の複数機材の評価はある種の目安にはなりますので機材選びの参考になれば幸いです。
他にも機材のポテンシャルを引き出すセッティングに関する記事をまとめましたので合わせてご確認ください。
皆様が良い音楽と過ごせますように。