元オーディオショップ店員のイイネドットミー(@iine_me)です。
今のDENONの音の方向性を打ち出し大ヒットシリーズとなったPMA-NEですが、PMA-800NEの後継モデルとしてPMA-900HNEが発売されました。
900NEではなく900HNEとなりネットワークオーディオのHEOS機能を搭載し使い勝手が大幅に向上しています。
記事の目次
DENON(デノン) プリメインアンプ PMA-900HNE試聴レビュー
PMA-900HNEはDENONから2022年6月にリリースされたプリメインアンプです。
2018年発売のPMA-800NEというコスパ抜群な人気のモデルが数年前に生産完了となりました。
当時はPMA-600NE/PMA-800NE/PMA-1600NE/PMA-2500NEという4つのラインナップが展開されておりPMA-800NEはエントリーモデルとミドルクラスをつなぐ架け橋のような存在でした。
PMA-900HNEではUSB-DAC機能の代わりにHEOSが追加されていますが、多くのユーザーの利用用途を考えるとHEOSの方がマッチするのではないかと思います。
高コスパの立ち位置を維持したニューモデル
DENON(デノン) プリメインアンプ PMA-900HNEの仕様
フロントパネル
大きなボリュームノブがセンターにあるDENONの伝統的なデザインです。
左側に電源ボタン、BASS(低域)/TREBLE(高域)/BALANCE(左右バランス)の調整ノブと「スピーカー切替」「ソースダイレクト」「MC/MM切り替え」のボタンとヘッドフォン端子が配置されています。
右側には入力ソースを表示するディスプレイとインプットセレクターがあります。
アンプの操作端子の種類はどのメーカーも同じようなものですが、レイアウトは各社のデザインセンスや考え方が反映されて異なった仕上がりになるのが面白いですね。
伝統的にそれぞれのレイアウトを守っているのでユーザーからするとありがたいです。
見た目は上位モデルのPMA-1700NEとほとんど同じ
リアパネル
リアパネルはLAN端子が特徴的ですね。
最近はプリメインアンプもTVもネット環境に接続できるものが増えてきましたね。
自宅の新築時にはこのような環境になることは想像できず、オーディオ、TVコーナーにLAN端子を作らなかったことが悔やまれます。
スピーカー端子も2系統あるのでバイワイヤリング接続にも対応しています。
LAN端子があり有線接続すれば安定した接続が可能
ネットワークオーディオ機能HEOS搭載
PMA-900HNEの大きな特徴であるHEOSが搭載されたことによりネットワークオーディオが楽しめます。
具体的にはamazon music、Spotify、soundcloudなど各種ストリーミングサービスやインターネットラジオだけでなく、NASやUSBメモリー上の音源の再生が可能です。
実際の操作はタブレットやスマホにダウンロードしたアプリで行いますがこれが意外と便利です。
私はスマホはいつもポケットに入っているのでわざわざアンプのリモコンを使わず入力切替をしたり曲を再生したりできるので非常に重宝しています。
オーディオファンの方に人気のamazon musicは有料プランのunlimitedなら多くの曲がハイレゾで再生可能なのでCDやレコードを購入することに比べたらコスパは抜群です。
本当に気に入ったものはメディアを購入しますが使い勝手も良く場所も取らないのでamazon musicのおかげでたくさんの音楽に出会えて生活が劇的に変わりました。
通常月額1080円、プライム会員なら880円のお手頃価格でハイレゾ音源の再生にも対応しているamzon musicは音楽ファンにとっては非常に魅力的です。
音楽ソースにかける予算が大幅に圧縮されるので今だからこそできるストリーミングサービスという選択肢を大いに活用しましょう。
新世代のAdvanced High Currentシングルプッシュプル増幅回路
電子回路ではトランジスターという半導体を使って信号の増幅を行います。
パワーのある力強い音質を得るためには複数ペアのトランジスターを並列で使いますが素子の性能のバラツキなどによりシングル回路に比べて音の繊細さが失われる傾向にあります。
PMA-900HNEでは一般的なトランジスターの3倍の電流供給が可能なHCトランジスターを使用し、最小単位の1ペアの回路により繊細さと力強さの両立を実現しています。
高性能な素材で最短、シンプルな回路を設計したということです。
デノン伝統のシングルプッシュプル増幅回路
低ノイズを実現した可変ゲイン型プリアンプ
PMA-800NEでは、ハイゲインアンプによる一段増幅を採用していましたが、PMA-900HNEは、デノン創立110周年記念モデルとして発売されたPMA-A110と同様に可変ゲイン型プリアンプとパワーアンプによる二段構成になっています。
可変ゲイン型とは再生音量に合わせてアンプのゲインを変化させる方式のことです。
これにより一般的なリスニングで使用される音量ではプリアンプ部での増幅をしないでパワーアンプ部のみで増幅することが可能になりました。
ノイズレベルは下がり高い空間表現力と透明感を実現しています。
よく使う音量の音質が抜群。全てのアンプがそうあって欲しい。
電子ボリュームコントロール
PMA-900HNEは電子ボリュームを採用しています。センサーがノブの回転を検出し音量を電子制御しています。
ボリュームノブは直接基盤と接続されておらず、ノブの回転をセンサーがキャッチして回転量に応じた音量制御をしています。
ボリュームノブと内部の基盤の間には実際に信号の行き来がないのでルートの短縮にもつながり、ここでもミニマムシグナルパスを実現しています。
信号が通る回路は短く、経由するパーツが少ないほど有利
ブロックコンデンサーとMIトランス
電源回路には電圧が安定している大型のEIコアトランスとPMA-900HNE専用に開発された大容量のブロック電解コンデンサー(8,200μF)が採用されています。
コンデンサーの役割は電気を蓄え電圧を一定に保つことがあげられます。
当然音質にも強く影響する部分でDENONのサウンドマネージャー山内慎一氏によるとコンデンサーの外側のフィルムの色でも音が変わるとの事でした。
専用設計のコンデンサーと大型EIトランスで強力な電源回り
その他の仕様
MM/MC対応フォノイコライザー
フォノイコライザー(アナログレコード用入力)はMMとMCという2種類のカートリッジに対応しています。
MCカートリッジは高音質な反面MM型に比べると出力レベルが低く、MCトランスという昇圧機で信号レベルを上げてからアンプに入力するのが一般的です。
PMA-900HNEはデフォルトでMCカートリッジに対応しているのでMCトランスは不要です。
仕様
パワーアンプ部
定格出力 | 50 W + 50 W (8Ω、20 Hz ~ 20 kHz、THD 0.07 %) 85 W + 85 W (4Ω、1 kHz、THD 0.7 %) |
全高調波歪率 | 0.01 % (定格出力、-3 dB時、負荷8Ω、1 kHz) |
出力端子 | スピーカーA またはB:負荷 4 ~ 16Ω スピーカーA+B:負荷 8 ~ 16Ω |
プリアンプ部
入力感度 / 入力インピーダンス | PHONO(MM): 2.5 mV / 47 kΩ PHONO(MC): 200 μV / 100 Ω CD、NETWORK/AUX、RECORDER :106 mV / 17 kΩ |
RIAA偏差 | PHONO: ± 1 dB(20 Hz ~ 20 kHz) |
最大入力 | PHONO(MM): 120 mV / 1 kHz PHONO(MC): 10 mV / 1 kHz |
入出力端子
アナログ音声入力端子 | アンバランス入力×3、PHONO入力×1 |
アナログ音声出力端子 | アンバランス出力(RECORDER)×1、サブウーハープリアウト×1、 ヘッドホン出力×1 |
デジタル音声入力端子 | 同軸デジタル入力×1、光デジタル入力×3 |
その他 | Network×1、USB-A×1、Wi-Fi/Bluetooth アンテナ×2 |
総合特性
S / N比(Aネットワーク) | PHONO(MM): 86 dB(入力端子短絡、入力信号5 mV) PHONO(MC): 71 dB(入力端子短絡、入力信号0.5 mV) CD、NETWORK/AUX、RECORDER: 105 dB(入力端子短絡) |
周波数特性 | 5 Hz ~ 100 kHz(0 ~ -3 dB) |
トーンコントロール | BASS: 100 Hz ±8 dB TREBLE: 10 kHz ± 8dB |
無線LAN | |
ネットワーク種類 | IEEE 802.11a / b / g / n / ac準拠(Wi-Fi® 準拠) |
セキュリティ | WEP 64bit、WEP 128bit、WPA/WPA2-PSK(AES)、WPA/WPA2-PSK(TKIP) |
無線周波数 | 2.4GHz / 5GHz |
Bluetooth
バージョン | 4.2 |
対応プロファイル | A2DP 1.3.2、 AVRCP 1.6.2 |
対応コーデック | SBC |
周波数帯域/送信出力/通信距離 | 2.4GHz 帯域 / Class 1 / 約30m (見通し距離) |
総合
外形寸法(W × H × D) | 434 x 131 x 375 mm |
質量 | 8.3 kg |
電源 | AC 100 V、50 / 60 Hz |
消費電力 | 200 W |
待機時消費電力 | 0.2 W 2.5W(TV自動再生機能、ネットワークコントロール、Wi-Fi、Bluetooth有効時) |
付属品 | かんたんスタートガイド、取扱説明書、保証書、リモコン、 単4形乾電池 × 2、Wi-Fi/Bluetoothアンテナ× 2、電源コード |
DENON(デノン) プリメインアンプ PMA-900HNEの音質
PMA-900HNEの最初の印象としては重心が低くメリハリが効いた音といった感じでした。
DENONらしさを感じる音作りで、キックの粒立ちと芯のある音が前に飛んでくる様は個人的な好みにバッチリハマります。
マランツが「雰囲気のある音」ならDENONは「元気が良い音」というイメージを持っていましたが、PMA-900HNEはまさに元気が良く明るくエネルギッシュというサウンドです。
空間表現力や立体感もあり、高域の伸びやかさも最近のDENONの特徴ですがそのあたりもしっかりと感じられます。
中高域は滑らかで癖が無く、超高解像度という感じではありませんが艶っぽさや繊細さも併せ持っています。
全体としてしっかりしたボトムの上に適度にウェットで広がりのある中高音が乗っているので多くの人の好みに合うバランスだと思います。
明るくメリハリのある元気が良い音
DENON(デノン) プリメインアンプ PMA-900HNEの評価
音質と機能性を高いレベルで兼ね備えたPMA-900HNEですが実売価格は10万円強という驚異のコスパです。
ストリーミングや手持ちのデジタル音源を楽しむのがメインという方なら他にプレーヤーを用意することなく音楽が楽しめるので予算も設置スペースも抑えることができます。
これからオーディオを始める方やエントリークラスの機材からステップアップされる方に非常におすすめです。
価格と価値を比べた時に非常に高い満足感をえることができる製品です。
コスパを求めるなら一押しのPMA-900HNE
まとめ
PMA-900HNEは前作のPMA-800NEと比較するとネットワーク機能が追加されただけでなく、音質面でも大きく飛躍したプリメインアンプです。
10万円前後のプリメインアンプを検討されている方はぜひ視聴されてみてください。
安定感のあるサウンドバランスと広がるサウンドステージに魅了されると思います。
最近の機材の進歩はすさまじいですね。
数年前素晴らしい出来だと思っていたものもモデルチェンジの度にそれを超えていくのは当たり前ではなく開発や製造に関わる方々の努力と苦労の結晶だと思います。
別記事でスピーカーやアンプのポテンシャルを引き出すセッティングに関する記事をまとめましたので合わせてご確認ください。
皆様が良い音楽と過ごせますように。