元オーディオショップ店員のイイネドットミー(@iine_me)です。
FYNE AUDIOのブックシェルフスピーカーF500のレビューです。
新しいメーカーながら熟練の設計技術で作られた注目のスピーカーです。
記事の目次
FYNE AUDIO(ファイン・オーディオ)F500試聴レビュー
FYNE AUDIOについて
FYNE AUDIOは2017年スコットランドにて創業の新しいスピーカーブランドです。
タンノイの設計開発、生産などに携わってきたメンバーが立ち上げた会社です。
新しいメーカーといえども社歴に似合わず開発、運営ノウハウがしっかりしているんですね。
プロダクトの特徴としてはタンノイでの経験を生かした同軸ユニットや音質を追求する細かな設計配慮。
価格帯は数万円のエントリークラスからハイエンドまで幅広く扱っています。
F500
製品ラインナップとしては普及価格帯の F300系 / F500系 / F700系
ハイエンドの F1系 となり各シリーズの中でブックシェルフ、トールボーイのバリエーションやサイズ展開がされています。
クラスとしてはF300→F700とランクが上がります。
F500シリーズはブックシェルフのF500 トールボーイはF501と大型のF502があります。
F500は2018年リリースのモデルで価格バランスも良く人気のスピーカーです。
中堅ラインナップF500シリーズのブックシェルフスピーカー
FYNE AUDIO(ファイン・オーディオ)F500の仕様
ISOFLARE ™ポイントソース・ドライバー設計
ポイントソースドライバー設計 初めて耳にしましたが点音源の再生を目指したドライバーということですね。
ISOFLARE (アイソフレアー)はTMがついてるので造語だと思います。
高域用と中低域用のドライバーが同一線上に位置する同軸ドライバーという種類の構造です。
同軸のメリットとしては、全ての音が一箇所から発せられるので定位の良さや2箇所のドライバーからの再生音が干渉し合って振動が乱れるのを軽減します。
構造としては空間表現力やクリアなサウンドが強みとされますが結局は設計者の技量に関わる部分が大きいです。
FYNE AUDIOはタンノイ時代の設計技術があるのでその点で安心できます。
同軸ドライバーのデメリットとしては指向性が強く(音が直線的に進み音の広がりが狭い状態)スイートスポット(気持ちよく音が聞こえる場所)が狭くなります。
FYNE AUDIOではそのデメリットを軽減するためにドライバーの開口部の形状を計算し指向性を改善しリスニングエリアを大きく広げました。
試聴の際にはあえてセンターから動いてみて確認しましたが確かにある程度のポジションの誤差は許容される感じがしました。
直線的にビームのように音が進むわけではなく全体に広がるイメージです。
同軸ドライバーの空間表現力と広いスイートスポットを両立
FYNEFLUTE ™ テクノロジー
エッジが独特な形状をしているのがおわかりでしょうか?
一般的なエッジは固有の振動数があり、特定の周波数で共振します。
FYNEFLUTE ™ (ファインフルート)テクノロジーと名付けられた技術は、コンピュータ解析をして特殊なライン(溝)をエッジに刻み込みコーンに悪影響を与える振動を軽減しています。
エッジの固有振動数を調整して周波数特性をフラットに調整
BASSTRAX ™ ポート・ディフューザーシステム
BassTrax ™ Tractrix (ベーストラックス・トラクトリックス)ポート・ディフューザーシステム
長い名前がついてますがバスレフポートのことです。
バスレフポートは下向きに配置されており、円錐状のディフューザーにより360度拡散されます。
これによりスピーカー背面の壁からの反射の影響を軽減することができ設置性が高まります。
バスレフポートがフロントにあってもリアにあっても音に影響するので底部、下向きのバスレフポートは個人的には好みのスタイルで良い印象を持っています。
バスレフポートは下向きでクリアな低域表現
仕様
サイズ:200W×325H×320Dmm
重量:7.3kg
ユニット:25mmチタンドーム・コンプレッション・トゥイーター/150mm IsoFlareマルチファイバー・ベース/ミッドドライバー
カラー:ダークオーク/ブラックオーク
再生周波数帯域:45Hz-34kHz
能率(2.83V/1m):89dB
インピーダンス:8Ω
推奨アンプ出力:30-120W
クロスオーバー周波数:1.7kHz
端子:バイワイヤリング/バナナプラグ対応
FYNE AUDIO(ファイン・オーディオ)F500の音質レビュー
F500のサウンドを聴いて最初に感じたのは実在感のあるハッキリとした音が聞こえるという印象でした。
少しだけJBLのスピーカーの表現に似て音が前に出てくるような感じがします。
物理的に音の距離が近くで鳴っているような雰囲気。目の前に音の粒があって輪郭を追えるような感じではなく音の中に自分が入っているような感覚です。
中域、高域共に音の芯がすっと通り前に飛んでくるように感じました。
表現が難しいのですが私の感覚では「広がりのある音」というよりも「音が広がり自分がその中にいる」という感じ。
「広がりのある音」は私の中では上下左右方向に音が幅広く定位してそれを目で(耳で)把握できるイメージですが、そんな感じではなく「ぶわっ」と音が広がり自分も超えていき自分も音の中にいるような感じです。
この表現が伝わるか不安ですがそう感じました。
音の傾向としては明るめのパワー感のある音質で、艶や解像度で美しさを感じるというよりも明瞭で元気の良い音のキャラクターでした。
音に包まれ、音の中に入りこむような体験
FYNE AUDIO(ファイン・オーディオ)F500の評価
F500は実売価格12万円台です。
この価格帯はいろいろなキャラクターのスピーカーがあり楽しいですね。
同軸ツイーターで明確な定位と部屋全体に音が広がり音の中に浸るような体験は特徴的なキャラクターで他のスピーカーではなかなか味わえません。
細かい設計技術に裏打ちされたクリアで正確な再生能力で素晴らしい音楽体験が出来る製品です。
価格的にも割安だと思いますしF500の音が好みにハマれば他のスピーカーは考えられないかもしれないです。
興味のある方はセッティングされた環境でしっかり試聴されることをおすすめ致します。
最後に
FYNE AUDIOは普及価格帯のモデルでもしっかりとした個性を持つスピーカーでした。
上級機種やF500シリーズのトールボーイも機会があれば聴いてみたいです。
スピーカーやアンプのポテンシャルを引き出すセッティングに関する記事をまとめましたので合わせてご確認ください。
皆様が良い音楽と過ごせますように。