こんにちは。 オーディオショップ店員のばっちゃん(@iine_me)です。
皆さんはスピーカーやアンプ、プレーヤーなどにインシュレーターは使っていますか?私はオーディオショップに勤めていることもあり、オーディオの制振に対しての重要性を日々感じています。しかしDJの友人や作曲をしている友人などの家やスタジオに遊びに行くと意外とスピーカーの設置には気を使っていなかったりします。今回は手軽に音質アップが期待できるインシュレーターについて書いていこうと思います。
記事の目次
インシュレーターとは
そもそもインシュレーターとはなんでしょうか。オーディオ機器は全て振動の影響を受けます。
そして機材自体が振動して自ら音を悪くしています。全ての機材に言えることですが、一番分かりやすいのはスピーカーなのでスピーカーを例に説明したいと思います。
音は空気の振動
太鼓の場合は皮が振動したりギターやピアノは弦が振動することで空気をゆらします。
オーディオの場合はスピーカーのユニットが前後に動いて空気を振動させることによって音が鳴ります。ユニットが前後に動くときには作用反作用の法則によりエンクロージャー(スピーカーのボディー)にも力がかかります。また、スピーカーの振動がスタンドや床、デスクの天板などに伝わり音が濁ります。
オーディオの世界ではいかにこの振動をなくすか、もしくは美しい響きにするかというところを突き詰めて良い音を鳴らします。インシュレーターとは機材と設置する場所の間に入れることによって振動を制限することによって音質アップを目指すものです。
振動対策の一つとして利用されるのがインシュレーター
特にオススメなのはスピーカー
さて、そんなインシュレーターですがどんな機器に使うと良いのでしょうか?
実はどんな機材に使っても効果があるんですが、やはり一番違いがはっきりと出るのはスピーカーだと思います。
スピーカーが鳴るときにはスピーカー自体が振動し、その振動が床やスタンドに伝わります。同時に床からの振動もスピーカーに伝わっています。
この振動の相互作用により不要なノイズが発生し付帯音となり明瞭な音響再生を妨げます。
また、スピーカーを床や机にそのまま置くとスピーカーの底面は自由に振動することができません。つまりスピーカー底面と床や天板が密着しているので響かせることができないのです。
例えばアコースティックギターを弾くときにボディーをの大部分を手で触ったりすると響きが弱くなります。同じようにスピーカーもボディーの響きが損なわれるのでなるべく底面の設置面積は少ない方が良いです。
インシュレーターの使用で不要な振動を減らしつつスピーカーの響きも得られる
スピーカーエンクロージャーのタイプ
スピーカーにもいろいろな考え方で作られたタイプがあります。
・響きの良い素材を使い、ボディーの箱鳴りも音の美しさに反映するタイプ
・振動数の違う複数の素材を使ったり重く硬い響きにくい素材を使い、ユニットから出る音を重視するタイプ
上記のどちらのタイプかでインシュレーターの効果は変わってきますがボディーの響きを利用しているタイプのは振動を逃がすタイプ
箱鳴りを抑えたスピーカーには制振タイプのインシュレーターの相性が良いことが多いです。
見分けるポイントとしてはスピーカーの側面を拳でかるく叩いてみます。
コンコンと響くタイプなのか、コツコツと音が響かないタイプなのかで分かります。
スピーカーの設計に合わせてインシュレーターを選定
インシュレーターの使い方
1つのスピーカーに対して3つのインシュレーターで支えるのが基本です。4点支持よりも安定して設置できる為です。
イスで考えてみると分かりやすいですが、4本脚のイスは床の状況や脚の取り付け精度によってぐらつくことがあります。
しかし3本脚のイスは床の状況に左右されぐらつくことはありません。
3点支持は横からの力に弱く、倒れやすいです。スピーカーの横を頻繁に通るのでぶつかる可能性があるとか、小さいお子さんがいるとか、そんなときは4点支持を検討してもいいかもしれません。
3つのインシュレーターをどのように使うかというと、基本は「スピーカーの前面の幅に合わせて前に2個」「後ろ面の中心に合わせて後ろに1個」三角形をつくって設置すると安定します。
前を1個、後ろを2個にすると音に奥行きが出ますが私は前に2個のセッティングの方が好みです。状況に合わせてどちらも試してみると面白いと思います。
またスピーカーの縁ギリギリに設置するのか少し内側に設置するのかでも効果が変わります。音を聴きながら好みのバランスを探してください。
置き方で効果が変わるので根気良くセッティングしましょう
インシュレーターの素材
インシュレーターの素材には様々なものがあります。
振動を吸収するゴム系のもの
金属性のもの・木製のもの・鉱石のもの
金属とゴムを合わせたハイブリットタイプ
などなど
好みに合わせて選んで大丈夫ですが、まずは素材ごとの傾向を紹介したいと思います。
ゴム系インシュレーター
振動を抑えること(制振)を目的として作られています。
不必要な響きを抑制することにより機材本来の出す音を引き出す方向に効果が出ます。
部屋の特性や機材の方向性によっては響きが無くなりすぎて面白味のない音になってしまう可能性もあります。
インシュレーターを使う前の音の傾向がデッド(響きがあまりない)な場合は他の素材がおすすめです。
ちなみに音がデッドになる要因としては、畳の部屋や毛足の長いカーペットの部屋、ソファーや家具などものが多かったりすると部屋の音響はデッドになりがちです。イメージとしては両手をパンパン叩いてみても全く響かない部屋はデッドな環境です。
ゴム製のAT6091はサブウーファーにもおすすめなインシュレーターです。
ゴム製インシュレーターは振動を吸収して不要な響きを取り除きます。
金属製インシュレーター
インシュレーターは機材から接地面に伝わる振動を抑制するために使われます。
金属製のインシュレーターであっても目的は同じなのですが、ゴム系のものに比べると音に金属の響きがのります。
それがかえって美しい音の響きになったり透明感が出たりする結果につながる場合があります。
特に、人が美しいと感じたりキラキラした解像度が高いと感じる音は高い周波数の部分なので、そのあたりの響きが欲しい場合には有効です。
先ほどのデッドな環境や温かみのあるまったりした音が出るシステムを使っている場合には相性が良いです。
金属にもいろいろな種類があり、それぞれ異なる響きを持っています。
インシュレーター自体の形状にもよりますが「真鍮(しんちゅう)」は素材自体の響きが良いので一般的におすすめできます。
金属製インシュレーターはスピーカーの響きを殺さず不要な振動を逃がします。
木製のインシュレーター
金属に比べると響きはやわらかいです。
音の傾向としては角が取れてマイルドな響きになります。
木の素材自体の違いとしては硬くて重い木ほど響きにくくて良い素材です。
先ほどまでのデッドな環境とは反対にライブな(響きが強い)環境に向いています。ライブな環境として床がフローリングやタイルで壁が鉄筋コンクリートだったりするとライブになりがちです。また、家具が少なく真四角な環境もライブになります。
引っ越しして荷物やカーテンがまだない部屋などで手をたたいたりくしゃみしたりするととても音が響くはずです。その状態がライブな状態です。ライブな環境ではゴム系や木製のインシュレーターが合うと思います。
サウンドがシャープすぎると感じる場合は木製がおすすめ
ハイブリットタイプのインシュレーター
上記の素材を組み合わせたハイブリットタイプのインシュレーターもあります。
基本的には一番下にある素材の影響を一番受けるはずですが、形状や素材の使い方にもよるので一概に音の傾向は判断できません。
購入前には口コミや実際にいろいろな商品を比較しているようなレビュー記事を見て判断するしかないでしょう。
ハイブリッドタイプはレビューを見たり実際に試してみることが必要
インシュレーターの形
インシュレーターにはスパイクと言われる先がとがった円錐型のものと円柱型のものがあります。
木製のものでは大きなサイコロのようなキューブタイプもあります。
スパイクタイプはそのままだと床やスタンドに傷がついてしまうのでスパイク受けというものとセットで使われることが多いです。
スパイクタイプのメリットとしては設置面積が少ないのでより振動の影響を減らすことができます。
付帯音が減るのでスッキリした音が取り出せると思います。
この辺りは素材との相性もあるので形だけで判断するのは難しいです。
まとめ
素材も形もいろいろとあるインシュレーターです。
基本的には安価なものでも何もないより音質面でメリットがあります。
お手軽にオーディオのレベルアップができるのでまだ使ったことがない方はお試しいただくことをおすすめします。
他にも機材のポテンシャルを引き出すセッティングに関する記事をまとめましたので合わせてご確認ください。
みなさんのそばに良い音楽あありますように。