元オーディオショップ店員のイイネドットミー(@iine_me)です。
今回はSonus Faber(ソナス・ファベール)のブックシェルフスピーカーSonetto I(ソネット1)のレビューです。
元々個人的な好みに合うブランドの新作なのですがやっぱり良かったです!
記事の目次
Sonus Faber(ソナス・ファベール) / Sonetto I(ソネット1)試聴レビュー
Sonus Faber(ソナス・ファベール)とは
Sonus faber社は、1980年フランコ・セルブリン氏によって創業され、会社としての設立は1983年で私と同級生です。
FRANCO SERBLIN(フランコセルブリン)といえばその後独立し、自身の名前を冠したスピーカーブランドを立ち上げます。
その美しいスピーカーはもはや芸術品で、彼が亡くなった後も、ラフスケッチから愛弟子により彼の新作スピーカーが開発されたりと素敵なストーリがあります。
工房で生み出されるハンドメイド作品
Sonus faberは「陸のヴェネツィア」と呼ばれる北イタリアの町ヴィチェンツァで創業されました。
ラテン語で「音の工房」を意味するそうで、FACEBOOKを見てみたらイタリアの工房で手作りしている画像があり、丁寧に作られている様が伝わってきました。
静かな美しい環境の中、緻密な木工技術、塗装技術でスピーカーを単なる音響装置ではなく工芸品へと仕上げます。
イタリアならではのデザインセンス、音作り、愛情を持って丁寧に組み立てられる製品群はソナス・ファーベルならではの価値を提供してくれます。
販売、購入可能なのはオーディオショップだけ
日本国内の流通に関してはルートが変わり、家電量販店などでは取り扱いが無く、オーディオショップのみで取り扱いが可能になりました。
家電ではなく芸術品とも言えるスピーカーですので、この流れは納得です。
価格.comなどからも価格の表示がなくなりましたが、個人的にはオーディオはなるべく地元のオーディオショップで試聴して、そちらのお店から購入される方が増えれば嬉しいです。
オーディオショップでしっかりとした環境で試聴して、納得して購入する。
お店にもよると思いますが設置のサービスやセッティングのノウハウを教えてくれたり、アフターサービスも信頼できます。
価格的にも割高になる場合ばかりではなく相談にのってくれることもあるのではないでしょうか?
量販店やネットオンリーのショップさんも働いている方がいらっしゃるのでどちらか一方の肩をもつつもりはないですが、それぞれに良さがあるのでどちらも繁盛されると良いなと思います。
Sonetto I(ソネット1)
Sonettoシリーズは2018年にリリースされたモデルで、ラインナップはブックシェルフのⅠ、Ⅱ、トールボーイのⅢ、Ⅴ、Ⅷ、があります。
1.2.3.5.8と数字が大きくなるほどサイズもアップします。
SonettoⅠはシリーズ最小モデルのブックシェルフで、一台一台手作業で木材とレザーを使い仕上げられた素晴らしいスピーカーです。
ソナスファーベル高級機種のノウハウを投入した製品
Sonus Faber(ソナス・ファベール) / Sonetto I(ソネット1)の仕様
↑まずは動画をご覧ください↑
素晴らしい質感が伝わってきますね。
やっぱりソナス・ファーベルはセンスが良く素敵なメーカーだと思いました。
伝統のリュートシェイプ
キャビネットはソナス・ファーベルの一つの特徴とも言えるリュートシェイプ。
※リュートとは中世からバロック期にヨーロッパで使われた弦楽器です。
内部に平行な面を作らず定在波の発生を抑制します。
定在波とは平行な面の間を音の波が往復することによって生まれる現象です。
進行していく波と反射して戻ってくる波がありますがお互いに干渉し乱れが起こります。
Sonettoシリーズではキャビネット内部に角度をつけることによりこの定在波の影響を軽減しています。
クリアで正確な再生音の為の工夫ですね。
キャビネット自体も一体成型の木材を使い、継ぎ目の無い構造です。
天面にはレザーを使い響きの調整をしています。見た目の高級感もあり素晴らしい作りだと思います。
ボトムバスレフ構造
SonettoⅠのバスレフポートは底面に配置されています。
バスレフポートとは低域を増強するためにスピーカーユニットの背面から出る音を反転させキャビネットの外に出す為の穴です。
一般的にはスピーカーの前面や背面につけられていることが多いです。
前回ご紹介したFYNE AUDIOのF500もボトムバスレフ方式でした。
F500は底面から360度放射状に拡散していましたが、SonettoⅠは前方にまとめて低域を排出しています。
ユニット自体も違うのでこれの影響かは分りませんが、ほぼ同一環境でF500とSonettoⅠを切替えながら聴いたら空間表現はかなり違いました。
音が全体に広がり音の中に自分がいるように感じたF500に対し、SonettoⅠは奥行きが感じられました。
比較するとSonettoⅠは少し引いたところに大きなサウンドステージが広がりました。
中低域の量感もしっかり感じられ非常に高い設計技術を感じます。
伸びやかな高域を生む独自の技術
SonettoⅠシリーズの各ドライバーユニットは新たに専用品として設計されています。
高域には、ソナス・ファベール独自の「アローポイントDAD (Damped Apex Dome)」テクノロジーに基づく29mm口径シルクドーム・ツイーターを採用しました。
ドイツDKM社製のシルクドームをベースに、頂点をダンピングする、このユニークな設計によって、ドーム型ならではの柔らかい音色とリングラジエーターの伸びやかな高域特性を兼ね備えた、上質な高域再現性を発揮します。(出典:www.noahcorporation.com)
「アローポイントDAD」というのはどんなものなのでしょうか?
上の画像のようにドームツイーターの前に弓(アロー)状の部品が設置されています。
「Damped (弱める) Apex(頂点) Dome(ドーム)」文字から受けるイメージはありますがこれが指向性や周波数特性に与える影響までは理解していないので構造の紹介だけに留めます。
ドームツイーターの上下に弓状のパーツを渡し頂点にダンピング材を設置(接着はしていないようです)しています。
この設計により柔らかい音色と伸びやかな高域特性が得られるとの事。
試聴時にはこんなことは知りませんでしたし特に意識もしませんでしたが高域にキツさや尖った感じは確かに感じませんでした。
Sonus Faber(ソナス・ファベール) / Sonetto I(ソネット1)の音質レビュー
一聴して高級で上質な雰囲気を感じましました。
細かい弦の音の描写力。ウッドベースの響きやディテール、弦の共振や倍音の表現が素晴らしい。
音の広がり、空間表現も抜群で、べたーっとした色彩で塗りつぶす感じではなく、奥行きや隙間、余白が上手く表現されています。
それでいて一つ一つの楽器音の表面の細かい質感や艶、などもしっかり楽しめます。
リアルで生々しい音というか存在感、実在感がすさまじいです。
色気を感じるサウンドで惚れ惚れしましたが、明るく派手で潤いもありなんとなくイタリアっぽいな~なんて思いました。
イタリアのブランドって時計、車、ファッションまで全体的にセクシーで質感の良いものが多いと思います。
Sonetto Iは見た目もサウンドもイタリアのイメージが沸いてきました。
今作は以前からのソナスファーベルの音をしっかり引き継いでさらに余裕のある鳴りっぷりを感じました。
ボーカルの表情やサウンドの細かいバイブレーションも感じるし同時にリズム隊の明るさ、力強さも表現できる芸術的なスピーカーです。
音楽を芸術品として再現する素晴らしい表現力
Sonus Faber(ソナス・ファベール) / Sonetto I(ソネット1)の評価
SonettoⅠの価格はペアで約20万円程です。
音質、仕上げの美しさは文句なしに抜群です。
イタリアの工房でハンドメイドで作られているというのもポイントで品質も安心ですし所有する喜びも量産型の音響機器とは一味違うと思います。
私も欲しいですしSonus Faberの価値観が合う方には素晴らしいスピーカーです。
たくさん作られてたくさん売れる製品は価格が安くなる傾向にありますよね?
Sonus Faberは流通もオーディオショップに限られていたりもするので、販売台数が多く大量生産ができるメーカーに比べると多少割高なのかもしれません。
ただ、どちらも良さがあると本気で思いますしSonettoⅠは間違いなく素晴らしく、価格以上に価値がある製品だと思います。
ニトリさんやIKEAさんのコスパ最高な家具を使うか、木工職人の手がける無垢材の家具を使うかといった違いでしょうか?
どんなスピーカーも良い部分があるのは共通ですが、SonettoⅠは他のスピーカーに無い部分をたくさん持っています。
個人的に昔からブランドイメージも良く、サウンドも大好きなメーカーですが、聴けば良さが伝わると思いますので興味のある方はぜひオーディオショップへ足を運んでみてくださいね。
最後に
オーディオショップでしか手に入らないというのは販売戦略としては面白いと思います。
オーディオ市場がシュリンクしていると言われていますが、この素晴らしい芸術、文化が繁栄していけば良いなと思います。
それにはオーディオショップのノウハウや場所(実店舗)の存在が大切だと思います。
ショップに行けば音が聴けたり、話が聞けたり、こんな恵まれた環境があるのは、過去にオーディオの道を進んでこられた店舗様、ファンの方々のおかげです。
今後も無くならない様に私達、今のオーディオファンの消費行動が重要だと思います。
出来る範囲で盛り上げていきましょう!
スピーカーやアンプのポテンシャルを引き出すセッティングに関する記事をまとめましたので合わせてご確認ください。
皆様が良い音楽と過ごせますように。