元オーディオショップ店員のイイネドットミー(@iine_me)です。
大阪の株式会社エーワイ電子が手掛けるオーディオブランドELSOUNDのボリューム付きパワーアンプEPWS-6の試聴機をお借りしたので自宅で使用した感想をまとめます。
記事の目次
ELSOUND(エルサウンド)EPWS-6試聴レビュー
ELSOUNDの設計思想は独特でサイト上の説明では
ディスクリートアンプの電源電圧は低いほど音が良いは常識。家庭用に数十Wのアンプは要りません。静かに美しい音色を楽しむには小出力アンプが最適です。(出典:https://ay-denshi.com/)
との記載があります。
昔家電量販店のオーディオコーナーで話した年配の店員さんにワット数だけでアンプの評価(大きいほど高音質と認識)をしている方がいらっしゃいました。
小出力ほど音が良いとは昔ながらのオーディオマニアの方には受け入れられない表現かもしれませんね。
ワット数が大きくなることでメリットもあると思いますがそれだけで音の良さを判断するのも少し乱暴だと思います。
とはいえ”電圧が低いほど音が良いことが常識”とも思わないですがおもしろい表現だなと興味を持ちました。
また、安価で高品質な機器を開発することでオーディオが高価になりすぎている昨今の風潮に挑戦するという精神は非常に共感できます。
スーパーハイエンドなオーディオの音は確かに最高でもちろん大好きですが、私自身もなるべくお金をかけずに良い音を出すことに喜びを感じるタイプです。
そんなELSOUNDさんのEPWSシリーズが絶賛されている記事を見たことで一気に購入検討機種となりました。
今回は試聴機を貸していただき自宅でとことんチェックしました。
小型でW数も小さく無駄なものをそぎ落とした職人のアンプ
ELSOUND(エルサウンド)EPWS-6の仕様
フロントパネル
フロントは電源ボタン、入力切替、ボリュームノブだけのシンプルな設計です。
サイズも非常にコンパクトで軽くデスクトップオーディオにも良いと思います。
カラーはブラック、シルバー(艶消し)の2色です。
まるで中華アンプのようですがデザインや駆体ではなく音に直結する部分に全振りした結果の見た目だと思うと素敵ですね。
リアパネル
リアパネルもとてもシンプルです。
Line入力が3系統にLRのスピーカー端子のみ。
最近のアンプはデジタル入力やPhono入力が付いたものも多いですが不要な人には無駄になってしまうのでLine3系統のみでその分コストカットしてもらうほうが嬉しい方もいると思います。
スペック
- ボリュームは連動誤差の非常に少ないアルプス製オーディオ用(全機種採用、デテント型、相互偏差3db以内 於-60db)、切替SWは接点の影響が最も少ないセイデン製使用(全機種採用、金メッキ接点接触抵抗5mΩ以内)
- 整流回路にSiCショットキーバリアダイオード採用
- 出力:6W×2 (歪率0.1%以内)。1W~8Wまで特注で出力変更可。五千円アップ(ご注文時に備考欄にご記入下さい)
- ゲイン20db (CDデッキの出力からダイレクト接続可能)(ゲイン変更可)
- 周波数特性:5Hzー150KHz (-3db以内)
- 残留ノイズ:0.15mV以内(SICショットキーバリアダイオード8個使用)
- 入力インピーダンス:10KΩ(VRはオーディオ用ミニデテント型使用)
- 幅140mm/奥行き250mm/高さ52mm / 重量 1.8Kg
- アルミケース使用。パネル、バックパネルはアルミ、文字はレーザー彫刻
- トロイダルトランス搭載アナログオリジナル回路手作り品
- 最高音質が得られる反転増幅回路採用
- シールド線使用無し
上記が基本のスペックですが自社で手作りしている製品なので仕様変更も可能で依頼に応じて別途見積りで対応してもらえます。
6wの小出力。用途に応じて細かいカスタムオーダーも可能。
ELSOUND(エルサウンド)EPWS-6の音質レビュー
音質はパワフルで力強く、音が前に出てくる印象です。
重心は低めで一つ一つの音に実在感があり密度が濃い音の粒が飛び出してくるようです。
特にキックやスネアと男性ボーカルはおいしい部分がしっかりと詰まっていてアタックを強調するサウンドというよりは実際の音や声に近いように感じました。
高域は出ていないわけではないけどなぜかドライに感じるのと上下の音場が狭く感じました。
高域の楽器やサウンドも自分の頭の少し上で鳴っているように感じ、左右の広がりも少しコンパクトになります。
少し気になる部分としては大きめの音量にすると、一気に音が増える場面で音が飽和しうるさく感じることがありました。
自宅は戸建てで隣の家ともすごく近いわけではないので休日の昼に音量を出してチェックしていた時にそう感じました。
集合住宅で出せるくらいの音量なら問題ないかと思います。
音に張りがありパワフル、力強いスネアが心地良い。
DENON PMA-600NEとの比較試聴
定価ベースでどちらも5万円台なのでDENONのPMA-600NEと何度も繋ぎ変えて比較してみました。
おそらく音の質やバランスが優れているのはEPWS-6です。
LOFIなHIPHOPなどでは明らかにEPWS-6方がキック、スネアの質感が良く、ボーカルの重心も低く落ち着いていてかっこいい。
女性ボーカルやピアノの高音、広がりのある音はPMA-600NEの広大なサウンドステージが生かされ最高に気持ちが良いです。
PMA-600NEは美しく伸びやかで透明感のあるサウンドが感動を演出します。
自分の好みはPMA-600NEですが隣で聴いていた妻の好みはEPWS-6。
この辺りの評価は好みの音楽ジャンルやオーディオに何を求めるかで変わってくると思います。
ある部分ではEPWS-6が上回っているし別の部分ではPMA-600NEの魅力が勝る。
「曲によって」や「リスニング時にフォーカスするポイント」でも変わります。
PMA-600NEは頭上の1.5メートルほど上から高域が降り注ぐ感じですがEPWS-6は高音が自分の頭の少し上あたりに収まりその分サウンドが凝縮された感じです。
EPWS-6はドライで濃いサウンド。PMA-600NEは潤いがあり透明なサウンドとも感じました。
作曲用のモニタースピーカーとピュアオーディオの違いによく似ているかもしれません。
私の場合はPMA-600NEのサウンドデザインが本当に好みなので評価は揺るがないですがEPWS-6と比較したことによってもう少し音の密度が上がればなと思いました。
ちなみにPMA-NEシリーズの上位機種2500NEにするとこの希望はあっさり叶いますw
PMA-NEシリーズの記事はこちらからご確認ください。
ELSOUND(エルサウンド)EPWS-6の評価
3系統の入力切替付きのEPW-6の価格は59,000円。
入力が1chのみで切り替え無しのEPWS-6Vは53,000円です。
価格と音のバランスで言えばとてもコストパフォーマンスに優れたアンプと言えます。
私は結局PMA-600NEが好みだったので購入には至りませんでしたがスピーカーをドライブする能力はEPWS-6の方が高く感じました。
イメージ的に軽やかな音よりも力強い音を求める人の方が多そうなのでこのサウンドが好みにハマる方も多くいらっしゃると思います。
ファットでパワーのあるアンプを安価で探している方には非常におすすめです。
デスクトップのニアフィールドやモニタースピーカー的な使い方を想定されている方にも良いと思います。
購入はエーワイ電子自社サイトからのみ可能なので下にリンクを貼っております。
https://ay-denshi.com/epws-6/
最後に
今回はエーワイ電子様に試聴機をお貸しいたたき自宅の慣れた環境でじっくりと時間を気にせず試聴ができました。
そのおかげで機器の特徴をはっきりと認識することができ非常に感謝しております。
この価格でこのサウンドを実現できるというのはやはり企業としての開発技術と経営理念がしっかりしているんだと思います。
国内のハンドメイド生産でこのような優れた製品が生み出されているのは日本人として喜ばしいことだと思いました。
スピーカーやアンプのポテンシャルを引き出すセッティングに関する記事をまとめましたので合わせてご確認ください。
皆様が良い音楽と過ごせますように。