MARANTZ(マランツ)プリメインアンプ PM8006 レビュー【10万円台】

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こんにちは。 元オーディオショップ店員のばっちゃん(@iine_me)です。MATANTZのプリメインアンプPM8006のレビューです。
デジタル回路のない純アナログアンプなのでアナログ入力だけで十分という方には嬉しい選択肢です。

marantz PM8006レビュー

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出典:www.marantz.jp/

PM8006はMARANTZから2017年にリリースされたプリメインアンプです。最近のプリメインアンプは多機能、デジタル入力が当たり前のようにもなってきましたがデジタル部分の進化は日進月歩とも言えるスピードで進化しています。その為、数年後にはアナログ部分のスペックに対しデジタル部分がチープに感じられる可能性があります。今後ストリーミングやハイレゾの環境が進化していくことを考えるとデジタル部分はその都度アップデートしていき、アナログ部分は性能の良いものを使い続けるのも一つの選択として考えられます。そんなニーズにばっちりハマるプリアンプがPM8006です。

ポイント

デジタル入力なしの純アナログプリメインアンプ

marantz PM8006の仕様

フロントパネル

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出典:www.marantz.jp/

マランツらしい見た目にトーンコントロール、インプットセレクター、ボリュームノブが並びます。スピーカー出力のセレクタとトーンコントロール回路をバイパスしフラットでピュアなバランスで再生するソースダイレクトボタンがあります。その隣にはパワーアンプダイレクトのスイッチがありパワーアンプとして使用することもできます。

リアパネル

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出典:www.marantz.jp/

Line入力5系統とMM対応のPhono入力、パワーアンプダイレクトの入力があります。スピーカー出力はA/Bの2系統あるのでバイワイヤリング対応のスピーカーにも良いですね。

電流帰還型プリアンプ

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出典:www.marantz.jp/

プリアンプ部にはマランツの上位機種PM12と同様に「電流帰還型」が採用されています。別方式には「電圧帰還型」があります。これはアンプのフィードバックを電流で行うか電圧で行うかの違いです。フィードバックとは入力信号と出力信号を比べて(出たものを一旦戻すのでフィードバックと言います)差異を調整する機能のことです。電圧帰還型の特性としてはゲインを上げようとすると周波数特性に影響がでて再生可能周波数の高域側に制限をかける必要があります。電流帰還型では周波数特性を伸ばすと共に回路の高速化が可能です。つまり「電流帰還型」のフィードバック方式はワイドレンジかつハイスピードを実現する為の手法です。

ポイント

電流帰還型で高域の周波数も伸びている

デジタル制御ボリューム回路

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マランツでは従来この価格帯のプリメインアンプでは機械式のボリュームが採用されていましたが、PM8006では上位機種に用いられる電子ボリュームが採用されました。この変更により左右のチャンネル間のクロストーク(それぞれのチャンネルの信号が混線し左右の分離が悪くなること)やギャングエラー(左右のチャンネルのボリュームが一致しないこと)が解消されます。

左右の信号が混ざることなく分離して音量が正確に一致しているということは、再生能力に大きく影響します。具体的にはセンター定位(ギャングエラー解消)や音のクリアさ、明瞭さ、分離の良さ(ギャングエラーとクロストークの解消)が改善されます。

ポイント

高額な電子ボリュームの採用で空間表現能力が向上

 

仕様

定格出力 100 W + 100 W(4 Ω、20 Hz – 20 kHz)
70 W + 70 W(8 Ω、20 Hz – 20 kHz)
全高調波歪率 0.02 %(8 Ω、20 Hz – 20 kHz)
出力帯域幅 5 Hz – 60 kHz (8 Ω、0.06 %)
周波数特性 5 Hz – 100 kHz (±3 dB、CD、1 W、8 Ω)
ダンピングファクター 100(8 Ω、40 Hz – 20 kHz)
入力感度/入力インピーダンス PHONO 2.0 mV / 47 kΩ   LINE入力 220 mV / 20 kΩ  POWER AMP DIRECT(P/D) 1.6 V / 15 kΩ
PHONO最大許容入力 MM 80 mV(1 kHz)
RIAA偏差 ±0.5 dB(20 Hz – 20 kHz)
S/N比(IHF Aネットワーク、8Ω) PHONO(MM)87 dB(5 mV入力、1 W出力)LINE入力 106 dB(2 V入力、定格出力)P/D 125 dB(定格出力)

音声入力端子 アンバランス × 5、PHONO(MM) × 1、POWER AMP DIRECT IN × 1
音声出力端子 RECアウト × 1、ヘッドホン × 1
その他入出力端子 マランツリモートバス(RC-5)入出力 × 1

消費電力 220 W
待機電力 0.2 W
最大外形寸法 W440 x H128 x D379 mm
質量 12.0 kg

marantz PM8006の音質レビュー

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基本的にはフラットで優等生なサウンドですがアンプとしてのクオリティーが高いのでオーディオのおもしろみが十分に楽しめます。質の高いスタジオモニタースピーカーの質感に少しだけ近いニュアンスを感じます。モニターライクのバランスですがそれに比べると艶がのり、色気も感じられます。

クッキリと浮かび上がる各楽器のサウンドはしっかりと中身の詰まった音です。音の粒自体はマランツらしくすっきりコンパクトにまとまっていますが濃縮された密度の濃さ、それに伴う輪郭の明瞭さを感じます。音の配置もある程度ワイドに展開されていて、そこに小さめの音の粒が浮かび上がるので空間の隙間がうまく表現されています。音が飽和する感じを好まない方には非常に魅力的なサウンドデザインだと思います。

私はガチャガチャした曲よりも音数少な目のクールな曲が好きなのでかなり好みの空間表現です。普段から分かりやすい「熱さ」よりもクールな中に秘める「アツさ」、奥深くからこみ上げてくるものを感じるのが最高にアツい音楽だと思っているのでそんな私の趣向にはたまらない製品でした。

ポイント

すっきりしているが腰の入ったサウンド

marantz PM8006の評価

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出典:www.marantz.jp/

余分な機能は削ぎ落とし、アナログプリメインアンプとしての性能を高めたPM8006。再生機能は他の機器に任せるという潔さが素敵です。オールインワン製品の魅力ももちろんありますが、様々なリスニングスタイルが考えられる現代においては、自分の求める環境に合わせて必要なものをそろえていくのが無駄が無く、結果的に求めるサウンドに最短距離でたどり着くことができる場合もあります。

アナログプレーヤー、CD,ハイレゾ、ネットワークオーディオやストリーミングサービスなど再生環境が多様化し、めまぐるしく変わるオーディオ業界の中で「信号を正確なバランスで増幅しスピーカーへ伝える」という必要不可欠な機能を高いレベルで実現する名作です。

特に進歩の目覚しいデジタル部分を切り捨て外部に任せることにより、寿命の長いプロダクトとして長期に渡り愛用することができるのはユーザーにとってはとても嬉しいです。最終目的地を見据えた上で購入できるのであればとてもおすすめできるプロダクトです。

まとめ

高品質な電子ボリュームの採用によりワンランク上の再生能力を獲得したプリメインアンプPM8006。サウンドチューニング的にも個人的な好みにバッチリハマり高評価となりました。余分な機能はいらないけどしっかりと音楽を楽しめる実力がある機材が欲しいという方におすすめです。

価格帯的にはDENONのPMA1600NEと同じくらいですがどちらも良いアンプです。パンチがあって鮮やかなPMA1600NEに対してすっきりとしたクールなサウンドで密度感もあるPM8006という印象です。私個人としてはどちらも好きな音ですが、同じ曲を聴いても全く印象が異なるので選ぶのは難しいです。できることなら曲の雰囲気によって使い分けたいくらいです。かなりキャラクターが違うので検討される際にはイメージだけでなくご試聴されることをおすすめします。

スピーカーやアンプのポテンシャルを引き出すセッティングに関する記事をまとめましたので合わせてご確認ください。

皆様が良い音楽と過ごせますように。