DENON(デノン)プリメインアンプ PMA-SX11試聴レビュー【30万円台】

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こんにちは。

元オーディオショップ店員のイイネドットミー(@iine_me)です。
本気でオーディオが楽しめるアンプPMA-SX11のレビューです。

DENON(デノン) PMA-SX11試聴レビュー

PMA SX11 - DENON(デノン)プリメインアンプ PMA-SX11試聴レビュー【30万円台】

出典:https://www.denon.jp/

PMA-SX11は2015年にリリースされたプリメインアンプです。定格電流、瞬時供給電流共に前作からパワーアップしており大型のスピーカーも鳴らしきる再生能力を持っています。この記事では発売当初に当時のフラッグシップモデルPMA-SX1と比較試聴した際の印象を元に紹介していきます。

ポイント

強力な電源回路でパワフルな再生能力

DENON(デノン) PMA-SX11の仕様

フロントパネル

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出典:https://www.denon.jp/

どっしりとした高さのある作りで見た目からして音が良さそうです。ボリュームノブにはLEDが仕込まれていて好みに合わせて調光やライトオフも可能です。余計なものは要らないというようなシンプルなレイアウトですね。

リアパネル

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出典:https://www.denon.jp/

通常のLine入力端子だけでなくバランス接続(キャノン入力)も可能です。スピーカー端子もしっかりしており各端子間のスペースも十分なのでいかついスピーカーケーブルでも大丈夫ですね。

ポイント

バランス入力に対応した貴重なプリメインアンプ

Advanced UHC-MOSシングルプッシュプル回路

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「UHC-MOS FET 」出典:https://www.denon.jp/

UHC-MOS-FETとは?

DENONのプリメインアンプに用いられるUHC-MOS-FETですがそもそもどんなパーツなのでしょうか?

これは増幅素子と言われるもので、入ってきた信号を大きくして出力するための部品です。

通常信号が経由する部品の数が増えるほど音質は劣化しますが信号を大きく増幅するためには複数の回路を経由する必要があります。つまり繊細な表現力(部品の少ないシンプル構造)とパワー(複数の回路で増幅する構造)は相反する構造が求められます。

UHC-MOS-FETは通常のMOS-FET35個分の増幅力があるパーツとして93年に開発されました。その後20数年進化を続けてAdvanced UHC-MOS-FETとして受け継がれ、今回採用されているUHC-MOS-FETは定格電流は30Aから60Aに、瞬時供給電流は120Aから240Aへと増強されています。

ポイント

素材の品質を高め部品点数を減らす設計

シングルプッシュプルとは?

交流信号のプラス側とマイナス側で別々の素子を使う回路がプッシュプルです。シングルプッシュプルとは各ラインで1つのみのパーツを使う(1ペア)回路を指します。

通常大きな出力を得るために複数の増幅素子が使われますが、各パーツごとのバラつき(個体差)が音に影響します。DENONはそれぞれの回路の差異を最小限にするために1ぺアという最小単位で構成しています。

ポイント

最小単位の回路構成で素子のバラつきによる音の濁りを低減

大型ヒートシンク採用

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「パワーアンプブロック」出典:https://www.denon.jp/

電源のパワーアップに伴いパワーアンプブロックの放熱もしっかりと考えられています。ヒートシンクには大型のアルミ押し出し材を用いることで放熱性を高めています。

電源周りは低ノイズのコンデンサーの採用や振動の発生源となる電源トランスを砂型アルミ鋳物のケースに入れたりと徹底した対策が施されています。

ポイント

発熱、ノイズ、振動対策はバッチリ

仕様

■パワーアンプ部
定格出力 120 W + 120 W (8Ω、20 Hz ~ 20 kHz、THD 0.1 %)
240 W + 240 W (4Ω、1 kHz、THD 0.7 %)
全高調波歪率 0.01 % (定格出力、-3 dB時)、負荷8Ω、1 kHz
出力端子 スピーカー負荷: 4 ~ 16Ω
入力感度 / 入力インピーダンス EXT. PRE: 1.1 V / 23 kΩ
ゲイン値: 29 dB
■プリアンプ部
録音出力端子 150 mV
入力感度 / 入力インピーダンス PHONO (MM): 2.5 mV / 47 kΩ
PHONO (MC): 200 μV / 100 Ω(High)、200 μV / 50 Ω(Low)
CD、NETWORK、TUNER、AUX、RECORDER: 165 mV / 25 kΩ
BALANCED: 165 mV / 100 kΩ
RIAA偏差 PHONO (MM / MC): ± 0.5 dB(20 Hz ~ 20 kHz)
最大入力 PHONO (MM): 130 mV / 1 kHz
PHONO (MC): 10 mV / 1 kHz
■総合特性
S / N比(IHF Aネットワーク、8Ω負荷) PHONO (MM): 82 dB(入力端子短絡、入力信号5 mV)
PHONO (MC): 70 dB (入力端子短絡、入力信号0.5 mV)
CD、NETWORK、TUNER、AUX、RECORDER: 108 dB(入力端子短絡)
周波数特性 5 Hz ~ 100 kHz(0 ~ -3 dB)
■総合
外形寸法(W × H × D) 435 x 181 x 506 mm
質量 27.4 kg
消費電力 380 W(電気用品安全法による)
待機電力 0.1 W / 0.2 W(オートスタンバイモード オン時 / オフ時)
付属品 かんたんスタートガイド、取扱説明書、リモコン、単4形乾電池 × 2、 電源コード

DENON(デノン) PMA-SX11の音質レビュー

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出典:https://www.denon.jp/

それではPMA-SX11の音質レビューです。

比較対象としては上位機種のPMA-SX1との比較でCDプレーヤーからのLine入力とレコードプレーヤーからPhono入力で確認しました。

スピーカーはB&Wの705 S2とSonus faberのVenere 2.0です。

LINE入力比較

まずSX1(実売価格50万円台)のCD入力から試聴しましたが、素晴らしいパワー感と解像度に引き込まれました。Holly Cole Torioのtennessee waltzでは冒頭のハーモニカの倍音やボーカルの艶、ウッドベースの密度が素晴らしいです。

骨太で中身のぎっしり詰まった低音の上にピラミッド型に中高域が積み上がり美しいバランスだと思います。

続いてSX11(実売価格約30万円)のチェックです。

こちらも基本的には同じ方向性ですが正直価格差ほどのクオリティーの差は感じませんでした。音作りとしてはSX1よりメリハリが利いて現代的なサウンドに感じ個人的にはむしろSX11の方が好みでした。

比較すると低域のモリっとした感じは若干抑えられ。高域の見通しが良くなったように感じます。

完全にスピーカーを駆動しきっているパワフルなアンプと感じられ、特に低域のスピード感や音の密度、高域の解像度の高さに圧倒されました。

印象としてはどちらを選んでも後悔なく長く付き合えるモデルだと思います。どちらが上かではなくどちらが好みかとも言えると思います。

アナログレコードでの比較

一番印象に残ったのはGrover Washington JrのJust The Two of Usです。

このレコードは私が高校生の頃に購入して以来今でもよく聴いているので細部まで把握しておりスピーカーやアンプのリファレンスとして重宝しています。

先ほどのCD比較ではSX11の方が好みでしたがphono入力ではSX1の方が印象が良く感じました。

音の傾向としては変わらずどっしりとしたSX1に対し若干SX11の方がシャープに感じます。そのパワフルさがアナログレコードにマッチしていてこの比較ではSX1のサウンドが好きでした。

総合的には価格も含めて考えると私はSX11に魅力を感じました。

バランス接続を試す機会がなかったのでそこだけが残念なポイントです。

ポイント

価格以上の品質を実感したPMA-SX11

DENON(デノン) PMA-SX11の評価

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出典:https://www.denon.jp/

音質レビューの項目にも書きましたが約30万円の実売価格と考えると素晴らしい出来だと思います。

同じDENONの大好きなPMA-2500NEと比べるとよりパワフルな印象を持ちます。大型のスピーカーやF1カー的なセッティングがシビアなスピーカーもしっかりと鳴らしきるのでこれを持っていればそうそう買い替えの必要はないのではないかと思います。

総合的に見て自信をもっておすすめできるプリメインアンプの一つです。

どっしりとしたサウンドがお好みの方はぜひ試聴されることをおすすめします。

 

最後に

PMA-SX1とPMA-SX11の比較レビューでした。

どちらも抜群に良い音を奏でるプリメインアンプです。鳥肌の立つオーディオ体験をさせてくれる貴重なプロダクトですので機会があればぜひ体験してみてください。

スピーカーやアンプのポテンシャルを引き出すセッティングに関する記事をまとめましたので合わせてご確認ください。

皆様が良い音楽と過ごせますように。