元オーディオショップ店員のばっちゃん(@iine_me)です。
プリメインアンプを選ぶときには真空管アンプと一般的なトランジスタアンプと言われる現代の主流になっているアンプが大きな括りとして区別できます。
もちろんアンプの方式のみで音が決まるわけではないですがそれぞれに良さがあるので真空管プリメインアンプに興味のある方も多いのではないでしょうか?
今回はTRIODE社のプリメインアンプを複数試聴しましたが一番印象が良かったTVR-A300XRの記事を書きます。
記事の目次
TRIODE(トライオード) TRV-A300XR試聴レビュー
TRV-A300XRは2016年にリリースされたA級シングル真空管プリメインアンプです。
型番に300が入っているように300Bという真空管が使われています。300Bはアンプに使われる真空管の中で一番人気がある機種と言えます。300Bの中にもいろいろなメーカーやビンテージのものなどがあり真空管を交換して音の変化を楽しむことができるのも特徴です。
真空管アンプの音質的なメリットとしては繊細かつ滑らかで透明感のあるサウンド。音楽として心地よい音色が出る傾向です。
デメリットとしては通電させてから最高のパフォーマンスが発揮されるまでに時間がかかります。その為、家電量販店のオーディオコーナーなどで電源を入れてもらいすぐに試聴しても本来の音質は出ない可能性が高いので注意が必要です。
また、寝る前に短時間だけ音楽を聴きたいなどの用途には、あらかじめ暖気運転をしておくなどの工夫が必要なのでリスニングスタイルに合わせた選択が必要です。
オーディオ機器として完成された真空管300B採用のプリメインアンプ
TRIODE(トライオード) TRV-A300XRの仕様
フロントパネル
真空管が並ぶ姿が美しいですね。ワインレッドとシルバーのボディーカラーもセンスが光ります。
電源スイッチ、ボリューム、インプットセレクターの他ヘッドフォン端子も用意されています。フロントパネルにアナログ入力端子があるのも特徴的です。
真空管の迫力とワインレッドカラーのインパクト
リアパネル
リアパネル
アナログ入力端子とREC OUT、スピーカー出力とシンプルな構成です。
スピーカー出力端子はインピーダンスに合わせて2系統用意されています。
背面のレイアウトもシンプルで美しい
仕様
回路形式 | A級シングル |
使用真空管 | 300B×2本、12AX7×1本、12AU7×2本 |
バイアス方式 | 固定バイアス |
定格出力 | 8W+8W(8Ω) |
周波数特性 | 10Hz~50kHz (-3dB) |
SN比 | 90dB |
入力端子 | MM1系統、LINE3系統 |
入力感度 | 700mV |
入力インピーダンス | 100kΩ |
スピーカー出力端子 | 6Ω/8Ω |
消費電力 | 120W |
サイズ | 横345×奥行320×高195mm |
重量 | 17kg |
付属品 | リモコン、真空管ボンネット、電源ケーブル |
TRIODE(トライオード) TRV-A300XRの音質
全体的なバランスは良く透明感のある音色です。
真空管というと倍音成分が豊かでウォームな音をイメージしていましたが現代の真空管プリメインアンプといった印象で解像度やレンジの広さは十分です。
音の輪郭は電源を入れてすぐは若干ざらついた印象ですが時間と共に滑らかさと透明感が出てきます。トランジスタアンプと比べるとシャープすぎず心に響く音だと感じました。
特にボーカルの芯の部分というかコシ、張りのある声が印象的です。
適度な艶も感じられ聴き疲れしにくく気持ち良い音色だと思います。
気になるポイントとしては縦方向の音場感が狭いようで少し音が詰まっているように感じました。
同時に試聴したTRIODEの小型真空管プリメインアンプRubyはさらに音場が狭く少しシャカシャカした雰囲気でしたが、それに比べると非常にバランスよく聞こえました。
適度な立体感もあり音色は好みです。
空間表現よりも音質が特徴的なサウンドだと思います。
滑らかで透明感があり心に響くサウンド
TRIODE(トライオード) TRV-A300XRにおすすめのスピーカー
B&W(Bowers & Wilkins)603
603の華やかで美しい中高音と締まったバランスの良い低域はTRV-A300XRとの組み合わせでお互いの良さを引き出すセッティングになると思います。
Sonus Faber(ソナス・ファベール)Sonetto I
価格帯別スピーカー
他にもおすすめのスピーカーはたくさんあるのでレビュー記事を価格別にまとめてみました。
参考になれば幸いです。
TRIODE(トライオード) TRV-A300XRの評価
実売価格は22万円程度。やはり真空管の特徴はトランジスタアンプとは異なるので真空管サウンドが好きな方にとっては価格、音質バランスの優れた選択肢になると思います。
300Bの真空管プリメインアンプがこの価格でこの完成度で手に入るのはなかなか無いと思います。
しっかりと音楽と向き合う時間をつくるその相棒としてとてもおすすめできるプロダクトです。
大人のナイトタイムリスニングと相性抜群な透明で色気のあるサウンドとルックス
最後に
TRV-A300XRは真空管ならではのサウンドと楽しみを得られるプリメインアンプです。
現代的なトランジスタアンプのハイスピードな音が苦手な方やそろそろ真空管アンプをとお考えの方におすすめです。
スピーカーやアンプのポテンシャルを引き出すセッティングに関する記事をまとめましたので合わせてご確認ください。
皆様が良い音楽と過ごせますように。