元オーディオショップ店員のイイネドットミー(@iine_me)です。
今のDENONの音の方向性を打ち出し大ヒットシリーズとなったPMA-NEですが、PMA-1600NEの後継モデルとしてPMA-1700NEが発売されました。
素晴らしいサウンドの名機が誕生したのでレビューしていきます!
気になっている方はぜひご覧ください。
記事の目次
DENON(デノン) プリメインアンプ PMA-1700NE試聴レビュー
PMA-1700NEはDENONから2022年5月にリリースされたUSB-DAC搭載のプリメインアンプです。
2016年発売のPMA-1600NEという大人気のモデルが生産完了となりモデルチェンジして生まれたアンプですが似ているのは見た目だけで音質は飛躍的にアップしています。
基本機能は似ていますが中身は大きくアップデートされています
DENON(デノン) プリメインアンプ PMA-1700NEの仕様
フロントパネル
大きなボリュームノブがセンターにあるDENONの伝統的なデザインでしっくりきますね。
左側に電源ボタン、BASS(低域)/TREBLE(高域)/BALANCE(左右バランス)の調整ノブと「アナログモード」「ソースダイレクト」「MC/MM切り替え」のボタンが配置されています。
ヘッドホン端子もありますのでスピーカーとヘッドホンどちらも使われる方も大丈夫です。
右側には入力ソースを表示するディスプレイとインプットセレクターがあります。
見た目はほぼPMA-1600NEと同じ
リアパネル
リアパネルは1600NEと比べて大きく変わった部分があります。
EXT.PRE INという端子が追加されています。
外部のプリアンプを接続することでPMA-1700NEをパワーアンプとして使えるようになりました。
プリメインアンプでパワーアンプ単体としても使える機種はそれほど多くないのですがAVニーズを意識しての機能追加のように感じます。
AVアンプの音質をアップさせたい方などには嬉しいオプションですね。
EXT.PRE IN入力でパワーアンプとしても使用可能
Advanced UHC-MOSシングルプッシュプル増幅回路
「繊細さと力強さ」を高い次元で両立するために、出力段には微小領域から大電流領域までのリニアリティに優れ、大電流を流すことができるUHC-MOS( Ultra High Current MOS ) FETをシングルプッシュプルで用いるシンプルな回路を採用しています。
とのことですがよく分かりませんよね?
簡単に解説すると信号の増幅カーブが直線的(スムーズ)なパーツを最小限の1ペアのみ使いシンプルな構造にしているので素材毎のバラツキも無くクリアなサウンドが得られるというロジックです。
DENONが長年採用してきた方式なので十分な設計ノウハウがあると思います。
高性能なパーツで最小限のルートを採用したシンプルな回路
電子ボリュームコントロール
PMA-1700NEは電子ボリュームを採用しています。センサーがノブの回転角を検出し音量を電子制御しています。
つまりボリュームノブは直接基盤と接続されておらず、ノブの回転をセンサーがキャッチして回転量に応じた音量制御をしています。
ボリュームノブと内部の基盤の間には実際に信号の行き来がないのでルートの短縮にもつながり、ここでもミニマムシグナルパスを実現しています。
信号が通る回路は短く、経由するパーツが少ないほど有利
LCマウントトランス
PMA-1700NEは電圧が安定している新型のEIコアトランスを搭載しています。
トランスから外にはみ出した磁力の線(漏洩磁束)を2つのトランスを向かい合わせて配置することで互いに打ち消しています。
※2つのトランスをよく見ると片方はDENONの文字がひっくり返ってると思います。
これをLC(リーケージ・キャンセリング)マウント方式と言います。
ヘッドフォンなどで外部の音をマイクで取り込み逆の位相の音を流すことで外部音を打ち消すノイズキャンセリング機能と同じ仕組みですね。
LCマウントでノイズを打ち消し高音質化
カスタムブロックコンデンサー
コンデンサーはPMA-1700NE専用にカスタムされた大容量のブロックコンデンサーを使用しています。
NEシリーズは前のモデルからカスタムコンデンサーを使用していますが今回も新たに開発されたようです。
コンデンサーの役割は電気を蓄え電圧を一定に保つことがあげられます。
当然音質にも強く影響する部分でDENONのサウンドマネージャー山内慎一氏によるとコンデンサーの外側のフィルムの色でも音が変わるとの事でした。
ダイオードユニットとブロックコンデンサーの接続部分も最短化し、パワーアンプへの電源の導線を短縮しています。
音質向上の為に専用開発されたコンデンサーを採用
その他の仕様
MM/MC対応フォノイコライザー
フォノイコライザー(アナログレコード用入力)はMMとMCという2種類のカートリッジに対応しています。
MCカートリッジは高音質な反面MM型に比べると出力レベルが低く、MCトランスという昇圧機で信号レベルを上げてからアンプに入力するのが一般的です。
PMA-1700NEはデフォルトでMCカートリッジに対応しているのでMCトランスは不要です。
USB-DAC機能
前モデルのPMA-1600NE同様にUSB-DAC機能を搭載しています。
PCやNASとUSBで直接接続することができます。
USB接続時は11.2MHz DSD、384kHz/32bit PCM音源にも対応しており、光デジタルと同軸デジタル接続では192kHz/24bitに対応しています。
仕様
パワーアンプ部
定格出力 | 70 W + 70 W (8Ω、20 Hz ~ 20 kHz、THD 0.07 %) 140 W + 140 W (4Ω、1 kHz、THD 0.7 %) |
全高調波歪率 | 0.01 % (定格出力、-3 dB時、負荷8Ω、1 kHz) |
出力端子 | スピーカーA またはB:負荷 4 ~ 16Ω スピーカーA+B:負荷 8 ~ 16Ω |
入力感度 / 入力インピーダンス | EXT. PRE:0.84 V / 47 kΩ ゲイン値:29 dB |
プリアンプ部
入力感度 / 入力インピーダンス | PHONO(MM): 2.5 mV / 47 kΩ PHONO(MC): 200 μV / 100 Ω CD、NETWORK/AUX、RECORDER :125 mV / 19 kΩ |
RIAA偏差 | PHONO: ± 0.5 dB(20 Hz ~ 20 kHz) |
最大入力 | PHONO(MM): 130 mV / 1 kHz PHONO(MC): 10 mV / 1 kHz |
入出力端子
アナログ音声入力端子 | アンバランス入力×3、PHONO入力×1、EXT. PRE×1 |
アナログ音声出力端子 | アンバランス出力(RECORDER)×1、ヘッドホン出力× 1 |
デジタル音声入力端子 | USB-B入力×1、同軸デジタル入力×1、光デジタル入力×2 |
その他 | IRコントロール入出力×1 |
総合特性
S / N比(Aネットワーク) | PHONO(MM): 89 dB(入力端子短絡、入力信号5 mV) PHONO(MC): 74 dB(入力端子短絡、入力信号0.5 mV) CD、NETWORK/AUX、RECORDER: 107 dB(入力端子短絡) |
周波数特性 | 5 Hz ~ 100 kHz(0 ~ -3 dB) |
トーンコントロール | BASS: 100 Hz ±8 dB TREBLE: 10 kHz ± 8dB |
総合
外形寸法(W × H × D) | 434 x 135 x 410 mm |
質量 | 17.6 kg |
電源 | AC 100 V、50 / 60 Hz |
消費電力 | 295 W |
待機時消費電力 | 0.2 W |
付属品 | かんたんスタートガイド、取扱説明書、保証書、リモコン、単4形乾電池 × 2、電源コード |
DENON(デノン) プリメインアンプ PMA-1700NEの音質
前作のPMA-1600NEと同時に比較試聴はできませんでしたが1600NEのサウンドは高域に少し粗さというかシャリついた雰囲気を感じたのを覚えています。
1700NEでは高域の繊細さが大幅に改善されており、音の粒子が細かく美しさが大幅にアップしています。
1600NEのゴリっとしたサウンドから1700NEでは立体感がありエレガントなサウンドになっています。
音場も広く高音は天井から降ってくるように感じ奥行きも広がり聴いていて包み込まれるような気持ちよさがあります。
サウンドバランスとしては張りがあってしっかりしたボトムの上に中域・高域が乗っているのですが低域はスピード感があってキレが良く私の好みにバッチリです。
中域と高域はウェットで色気があります。それぞれの楽器のパートがくっきりと描き分けられ聴いていて非常に楽しいアンプだと思いました。
広大なステージに密度の濃いサウンドが広がる
DENON(デノン) プリメインアンプ PMA-1700NEの評価
仕様説明の項目では割愛しましたがデジタル回路を遮断する「アナログモード」やUSB-DAC回路と周辺の回路を電気的に絶縁するデジタルアイソレーター回路などデジタルノイズ対策も施されています。
これまでのDENONの開発ノウハウとカスタムパーツが惜しげもなく投入されプリメインアンプで実売価格で20万円を切る金額で販売している小売店もあります。
価格的にはミドルクラスとなりますがサウンドは完全にミドルクラスを超え、音質と内容で言えば30万円クラスのモデルと比べても全く不足はありません。
デジタル音源を楽しまれる方はもちろんですがプリメインアンプとしての再生能力が素晴らしいので予算20万円程度でアンプをお探しの方には大推薦のモデルです。
クラスを超えたサウンドとアナログとデジタルの融合を実現したPMA-1700NE
まとめ
PMA-1700NEは前作の1600NEが好評だった為リニューアルした今作もヒット間違いなしだと思います。
さらに磨きをかけたサウンドは非常に満足できるものだと思います。
10万円前後のプリメインアンプのランクアップを検討されている方、AVアンプのサウンドをグレードアップしたい方はぜひ視聴されてみてください。
安定感のあるサウンドバランスと広がるサウンドステージに魅了されると思います。
別記事でスピーカーやアンプのポテンシャルを引き出すセッティングに関する記事をまとめましたので合わせてご確認ください。
皆様が良い音楽と過ごせますように。