元オーディオショップ店員のイイネドットミー(@iine_me)です。
今回はB&Wの700シリーズのシグネチャーモデル「702 signature」のレビューです。
素晴らしい出来でホームユースでは一つの到達点と言える理想的なスピーカーだと思います。
B&W(Bowers & Wilkins)トールボーイスピーカー702 signature試聴レビュー
702 signatureはオーディオメーカーとして確固たる地位を築いた「B&W(Bowers & Wilkins)」のスピーカーです。
2017年11月にリリースされたトールボーイスピーカー702s2のシグネチャーモデルで、9回の塗装とラッカー塗装を施した木目が非常に美しい仕上がりです。
変更点は見た目だけでなく内部のクロスオーバーもアップグレードされています。Mundorf社のシグナルパスコンデンサー、大型ヒートシンクを採用し、クロスオーバーの低域側にアップグレードされたフィルターコンデンサーを使用しています。
ツイーターがキャビネットから独立したツイーターオントップのスタイルはそのままですが特に塗装の仕上げが非常に美しく、見た目の高級感が大幅にアップしています。
人気の702s2のシグネチャーモデル
B&W(Bowers & Wilkins)702 signatureの仕様
フロント
702s2同様のツイーターオントップ構造でツイーターはキャビネットに物理的に固定されずフローティング状態になっています。
画像で見る限り702s2とはカラーリング以外に大きな違いを感じませんが、実物を見るとキャビネットの仕上げにより高級感が全く異なります。
価格差を考えると見た目の違いだけでもsignatureモデルを選びたくなってきます。
手間をかけた塗装と木目仕上げによりインテリアとしても抜群の存在感
シグネチャープレート
背面のバスレフポートの上には702 signatureのシルバープレートが輝きます。
普段見えないところですが高級感のある外装との相性も良く素敵です。
シグネチャーモデルという特別感があり所有する喜びを高めてくれますね。
トゥイーターハウジング
こちらは702s2と変わりありませんが、アルミブロックから削り出しの共振しにくいボディーで作られています。
次に紹介するツイーターユニットも通常モデルと変わりありませんが元々の素材が素晴らしく良いことが想像できます。
カーボン・ドームツイーター
ツイーターも702s2と同じ素材を使っています。
下位モデルのB&W600シリーズで採用されているアルミ・ドームツイーターをベースに表と裏からカーボンでコーティングしたものです。
カーボンコーティングの効果は抜群で600シリーズに比べると700シリーズの高音は美しさが全く異なります。その素晴らしい高音を持つ700s2シリーズのツイーターがsignatureシリーズのチューンナップにより最大限にポテンシャルを発揮しています。
ノーマルs2シリーズでも十分な高域の潤い感や解像度を感じていましたがシグネチャーモデルでは圧倒的な格の違いです。
シュワシュワとシャンパンの泡が弾けるような細かい音の粒が美しい輝きを放ち、元のソースにこんなにも倍音成分が含まれていたのかと驚きました。
個人的にはこれ以上のものを求めると各スピーカーメーカーのハイエンドモデルから選ぶしかなくなってくるのではないかと思います。
価格的には余裕で100万円オーバーのスピーカーでないとなかなか太刀打ちができないのではないでしょうか。
評判の良いカーボンドームツイーターがチューンナップで能力を発揮
Continuum™コーン(コンティニュアムコーン)ミッドレンジドライバー
もはやB&Wと言えばコンティニュアムコーンというように私の中のイメージも時と共に変わってきました。
黄色のケプラーコーンからシルバーのコンティニュアムコーンへの変更はB&Wのサウンドをより現代的でクリアなモニターサウンドへと昇華させた要因の一つだと思います。
ケプラー世代からコンティニュアム世代で確実に音質のクオリティーがアップしています。
カーボンドームツイーターとのつながりも素晴らしく、お互いの良いところを高めあっているような関係に思えます。
B&Wの技術革新により生まれた正確無比な再生能力を持つコンティニュアムコーン
仕様
702 Signature
技術仕様
3ウェイバスレフ型システム
特徴
“デカップルドCarbon Dome トゥイーター
ソリッドボディー・トゥイーター・オン・トップ
Continuum™ コーンFST™ ミッドレンジ
デカップルド・ミッドレンジ
Aerofoil™ Profile バス・コーン
Flowport™”
ドライブユニット
1x ø25mm (1インチ) デカップルド Carbon Domeトゥイーター
1x ø150mm (6インチ) Continuum コーン FST ミッドレンジ
3x ø165mm (6.5インチ) Aerofoil Profile バス
周波数帯域
28Hz and 33kHz(-6dB)
周波数レスポンス
46Hz – 28kHz (±3dB)
感度
90dB spl (2.83Vrms, 1m)
高調波歪率
2次および3次高調波 (90dB, 1m)
<1% 86Hz – 28kHz
<0.5% 110Hz – 20kHz
公称インピーダンス
8Ω (最小 3.1Ω)
推奨アンプ出力
30W – 300W(8Ωで歪まない範囲内)
外形寸法
高さ: 994mm(キャビネットのみ) 1087mm(トゥイーターと台座含む)
幅: 200mm (キャビネットのみ)366mm (台座含む)
奥行: 337mm (キャビネットのみ)364mm(グリルとターミナル含む)452mm(台座含む)
質量
29.5kg
キャビネット仕上げ
ダトゥク・グロス
グリル仕上げ
ブラック
B&W(Bowers & Wilkins)606S2の音質レビュー
一般モデルの700s2シリーズではブックシェルフの705s2が一番バランス良く鳴っているように感じ、トールボーイの702s2では中低音の響きが厚く、高域の華やかさが少しマスクされているような印象を受けました。
signatureモデルになるとその印象が一変し、702signatureと705signatureの比較では702signatureが圧倒的なバランス感と立体感、表現力を持っていました。
702s2と702signatureの比較でも潤い感、透明感、艶などが劇的に向上していて、signatureからs2に切り替えるとドライで多少のざらつきを感じ、2ランクくらいの質の差を感じました。
702s2と同じボディーを採用しているブラッシュアップモデルとは思えないくらいの進化で、音の細やかさ、音場表現などはハイエンドが感じられるレベルです。瞬間的に鳥肌が立ちました。本格的なオーディオルームを持つようなオーディオマニアの方でない限りこれで十分と思えるクオリティーです。
音楽ジャンルに関しても苦手なものは無く、アコースティックからエレクトリック、クラシックからダンスミュージックまでどんな曲でもその世界に入り込ませる完成度の高さです。
B&Wのモデルチェンジのスピード感はすごいですが、毎回その進化は圧巻で、業界のトップランナーとしての設計技術に驚かされます。
いろいろと絶賛していますがB&Wの800シリーズなどハイエンドモデルと比べなければ本当に弱点が見つからない素晴らしいスピーカーです。
全帯域で解像度の高さを感じる高い再生能力
B&W(Bowers & Wilkins)606S2の評価
おそらくB&Wの800シリーズほどストイックなセッティングや組み合わせる機材にシビアさが要求されないので一部のハイエンドユーザーの方を除く多くのオーディオファンにとって702signatureは最良のスピーカーの一つだと思います。
800シリーズは素晴らしい反面、機材や使いこなし、セッティングなど細かい全てのことが音にありありと表現されてしまうので果てしない沼の世界への入り口とも言えます。
それが趣味としてのオーディオの楽しみの本質でもありますが、多くの一般的なオーディオファンにとっては703signatureは一つの到達地点と言えます。
これがオーディオ世界のトップオブザトップではありませんが、私がこのブログで紹介しているような価格帯のホームオーディオ界ではトップではないでしょうか。
実売価格は65~70万円くらいともちろん高い買い物ではありますが、数十年単位で非常に満足度の高い音楽体験ができます。
ノーマルの702s2との実売価格の差が数万円という事を考えると702signatureのコストパフォーマンスは圧倒的です。
価格的に無理だなーという方は一度試聴だけでもしてみて欲しいです。
シグネチャーモデルなのでいつまで店頭に並ぶのかは分かりませんが長期にわたり名機と言われるようなプロダクトだと思います。
とにかく素晴らしい。素晴らしい。素晴らしい。
通常モデルの702s2の記事はこちら
B&W(Bowers & Wilkins)603s2におすすめのアンプ
LUXMAN(ラックスマン)L-550AXII
702L-550AXIIはA級動作のプリメインアンプで適度な厚みと艶、色気を感じます。
702signatureとの組み合わせでは高音だけでなく中低域まで潤いと輝きを感じられるような美しいサウンドでした。
以前L-505uXⅡのレビュー記事を書きましたがA級のL-550AXIIよりAB級のL-505UXⅡの方がさらに厚みがありました。L-550AXⅡは中低域が程よくシェイプされてレンジは広がり高域の空気感や表現力が抜群です。
MARANTZ (マランツ) PM-12 OSE
PM-12 OSEはすっきりとした低域とシズル感すら感じられるような瑞々しい中高域が特徴的なプリメインアンプです。
中高域の色気は圧倒的で聴くソースがボーカルものや高域の倍音成分にフォーカスするようなものであればPM-12OSEは素晴らしい組み合わせになります。
DENON(デノン)プリメインアンプ PMA-SX11
パワフルでキレの良いサウンドがお好きならDENONのPMA-SX11もおすすめです。
比較的フラットなバランスのマランツに比べるとピラミッドバランスとも言えるようなどっしりとした低音が特徴的です。
しかし低音の密度感やキレが良いのでゆるく量感のある低音ではなくしっかりとウーファーをドライブし制動力があるアンプです。
702signatureとの相性も良く気持ちよく音楽を聴くことができます。
価格帯別プリメインアンプ
他にもおすすめのアンプはたくさんあるのでレビュー記事を価格別にまとめてみました。
参考になれば幸いです。
価格帯別スピーカーレビュー
金額に応じてある程度クオリティーの向上が見込まれるのがオーディオ機器です。
必ずしも価格とサウンドが一致する訳ではないですが、予算に応じてスピーカーが選べるように金額別のカテゴリー分けをしています。
他のスピーカーも気になるという方は下のリンクからご確認ください。
最後に
B&W 702 signatureはホームオーディオでは最高レベルの逸品です。
せっかくの機材も使い方次第で出る音は変わってしまいます。
スピーカーやアンプのポテンシャルを引き出すセッティングに関する記事をまとめましたので合わせてご確認ください。
皆様が良い音楽と過ごせますように。