こんにちは。
元オーディオショップ店員のイイネドットミー(@iine_me)です。
MARANTZのHDMI搭載プリメインアンプMODEL 40nの記事です。
長い間在庫切れでしたが2023年1月末に購入してから自宅で使用しています。
記事の目次
MARANTZ(マランツ)プリメインアンプMODEL 40nレビュー
MODEL40nの大きな特徴としてはHDMI入力が可能ということです。
近年FireTVやテレビのIoT化に伴い動画コンテンツを自宅で楽しむニーズが大幅に拡大しました。
今までは動画の音質を向上させるにはAVアンプを使うか2chのアンプを使うには光デジタル接続するかコンバーターを使いアナログ音声信号を抽出する必要がありました。
「ホームシアター用のAVアンプは使わないチャンネルが多すぎて無駄が多い。2chアンプにHDMI入力があったら良いのに」
という需要をキャッチして大ヒットしたのがMarantzのNR1200です。
そんなHDMI付きの2chプリメインアンプというカテゴリで大幅に音質をアップさせたものがModel40nです。
私もNR1200を自宅リビングで使用していましたが今回Model40nに買い替えたので比較も含めてレビューしていきます。
HDMI搭載の高音質2chアンプ最有力候補
MARANTZ(マランツ)プリメインアンプMODEL 40nの仕様
フロントパネル
MODEL 30と同じようなデザインで非常にスタイリッシュなフロントパネルです。
左からインプットセレクター、ソースダイレクト、Bass、Treble、Balance、ボリュームと並びます。左の電源スイッチに対応するように右側にヘッドフォン入力端子が配置され完全に左右のバランスが均等になっています。
奥行を感じる作りで非常に質感が高いです。
カラーはシルバーとブラックの2パターン用意されています。
新しいマランツデザインを感じるスタイリッシュなフロント
リアパネル
最大の特徴はHDMI/ARC対応の入力端子です。TVとの接続はこれ1系統のみで完了します。
NR1200では5系統のHDMI入力と1系統のHDMI出力がありました。
この部分は大きな違いで、例えばTVではなくプロジェクター+プレーヤーといった構成で動画を楽しみたい場合にはMODEL40nではなくNR1200が選択肢になってきます。
プロジェクターではなくTVを使っている方は再生機器はTVのHDMI入力に接続可能なのでMODEL40nでも問題ありません。
スピーカー端子は1系統のみでバイワイヤリングには対応していませんがNR1200と比べても大きく安定感のある端子にグレードアップしています。
HDMI/ARC端子搭載でTVの音質がピュアオーディオレベルに
新しい解釈で生まれた素晴らしいデザイン
コントロールノブの配置される部分は1レイヤー前に設置され、隙間に仕込まれたLEDの光でフロントパネルの両サイドが照らされます。
スリットは細くLEDの光も目立つものではないので嫌味の無い範囲ですが凹凸があり光と影の演出まで計算されています。躯体サイズも音質と出力の割にコンパクトにまとまっており非常に洗練されたデザインです。
見た目も良くリビングオーディオに最適
HDMI入力でテレビの音も高音質化
MODEL40nの一番の特徴で私が購入したポイントでもあるのがHDMI(ARC)入力を搭載しているということです。
CECという規格に対応しておりケーブル一本で接続完了、テレビのリモコンで音量調整や電源操作などにも対応します。
これによりYOUTUBEや映画、ライブ映像などのコンテンツの高音質化が可能です。
最近は音楽を動画で楽しむ機会が増えているので時代のニーズにマッチした設計ですね。
ARC対応のHDMIでは音質が良くないという情報もありますがMODEL 40nでは徹底的に音質にこだわりARCの高音質化を実現しています。
テレビの高音質化で生活の質が変わる
ネットワークオーディオ機能搭載
HEOSアプリを利用してAmazon MusicやSpotifyなどのストリーミングサービスの再生やUSBやNASに保存したデータの再生、入力切替など様々な操作が可能性です。
Model40nのリモコンを使わなくてもスマホは常に持っていてすぐに操作できるのでとても便利です。
以前はAmazon Musicの自分のプレイリストをHEOSアプリから再生することが出来ませんでしたが現在はプレイリストの再生に対応しています。
欲を言えばHEOSアプリ上でプレイリストへの追加などができるとより便利なので今後のアップデートでより使い勝手が良くなることを期待しています。
月額1000円未満のお手頃価格でハイレゾ音源の再生にも対応しているamzon musicは音楽ファンにとっては非常に魅力的です。
音楽ソースにかける予算が大幅に圧縮されるので今だからこそできるストリーミングサービスという選択肢を大いに活用しましょう。
低ノイズを実現した可変ゲイン型プリアンプ
MODEL40nは上位モデルのMODEL30に採用されている最高グレードのボリュームコントロールICが採用されています。
ボリュームコントロールICとは音量調整機能を担う集積回路のことで、品質が高いほど音量調整時に発生するノイズや歪みが少なく、より正確な音量調整が可能になります。
またHDAM®、HDAM®-SA2と言われる独自設計された回路で高速で正確な信号処理が可能になっており高いS/N比や低歪率が特徴で細かい音の表現や音楽のニュアンスをよりリアルに再現できます。
通常使用範囲の音量ではプリアンプ部での増幅を行わずパワーアンプ部でのみ増幅する可変ゲイン型(入力信号のレベルに応じて増幅率を調整)とすることにより徹底的に低ノイズを実現(PM8006比で45%ノイズカット)しています。
情報量の豊かさと静けさを実現
電流帰還型パワーアンプ
パワーアンプ部にはマランツ独自のアンプモジュールHDAM-SA3を使った電流帰還型増幅回路が採用されています。
アンプには電圧帰還型と言われる方式が一般的ですがMODEL40nは電流帰還型です。帰還とはフィードバックとも呼ばれ、入力信号と出力信号の差異を比べて調整する工程のことです。
一般的な電圧帰還型のデメリットとしてはゲイン(増幅量)を上げようとすると周波数特性に影響がでて再生可能周波数の高域側に制限をかける必要があります。
電流帰還型のメリットは回路の高速化や周波数特性のバランスを保ったまま大きな利得(信号の増幅量)が得られることなどがあげられます。「電流帰還型」のフィードバック方式はワイドレンジかつハイスピードを実現する為の手法です。
瞬時電流供給能力は68Aと高く、瞬間的に大きな電流が必要な場合にも耐えられます。これにより高い低音の再生能力が期待できます。
周波数特性に優れた電流帰還型のフィードバック方式を採用
大容量の電源回路
クリーンな電源を供給する為にクラス最大級のトロイダルトランスが採用されています。また、マランツ専用のカスタムされたコンデンサーを搭載しハイスピードで余裕のある電源を安定的に供給しています。
長年の設計ノウハウを生かした電源回路
仕様
定格出力 | 100 W + 100 W(4 Ω、20 Hz – 20 kHz) 70 W + 70 W(8 Ω、20 Hz – 20 kHz) |
全高調波歪率 | 0.02 %(20 Hz – 20 kHz、両チャンネル同時駆動、8 Ω) |
周波数特性 | 5 Hz – 100 kHz (±3 dB) |
ダンピングファクター | 100以上(8 Ω、20 Hz – 20 kHz) |
入力感度/入力インピーダンス | PHONO(MM)1.6 mV / 47kΩ、 CD / LINE / RECORDER 220 mV / 16 kΩ、POWER AMP IN 1.5 V / 15 kΩ |
出力電圧 | SUB WOOFER OUT 220 mV |
PHONO最大許容入力(MM) | 80 mV(1 kHz) |
RIAA偏差 | ±0.5 dB(20 Hz – 20 kHz) |
S/N比(IHF Aネットワーク、8Ω) | PHONO(MM)87 dB(5 mV入力)、 CD / LINE / RECORDER 113 dB(定格出力) POWER AMP IN 125 dB(定格出力) |
トーンコントロール | BASS(50 Hz)±10 dB、TREBLE(15 kHz) ±10 dB |
音声入力端子 | アンバランス × 3、PHONO(MM) × 1、POWER AMP IN × 1、HDMI ARC × 1、同軸デジタル × 1、光デジタル × 1、USB-A × 1 |
音声出力端子 | サブウーハープリアウト × 1、RECアウト× 1、ヘッドホン × 1 |
その他入出力端子 | ネットワーク × 1、Bluetooth / Wi-Fiアンテナ入力 × 2、マランツモートバス(RC-5)入出力 × 1 |
電源 | AC 100 V、50 / 60 Hz |
消費電力 | 220 W |
待機電力 | 0.3 W(通常スタンバイ)/ 2 W (ネットワークスタンバイ) |
最大外形寸法 | W443 x H130 x D432 mm (ロッドアンテナを寝かせた場合) W443 x H194 x D432 mm (ロッドアンテナを立てた場合) |
質量 | 16.7 kg |
MARANTZ(マランツ)プリメインアンプMODEL 40nの音質レビュー
MODEL40nの音質レビューです。
良く比較されるMODEL30と比べると高域の美しさ、細やかさが抑えられていますが中低域の音の輪郭の分厚さがアップしているように感じました。
同じくHDMIの入力端子を持つMarantzのNR1200と比較すると透明感、空間表現、迫力などすべてにおいてMODEL40nが圧倒的に優れています。
中高域の音の一個一個の厚みが大きく輪郭も明瞭になり低域の密度も増しています。
中高域の厚みというのは音のバランスの事では無く空間に浮かび上がる音の粒一つ単位の厚みです。
分厚いキックとペラペラなキックの音が違うというのはなんとなく想像つくと思いますがクラップやハイハットでも同じく音の厚みを感じるかどうかという違いです。
しっかりそこに音の像が浮かび上がるというのがポイントで、それが音楽に引き込まれる大きな要素の一つだと思います。
リアルさ、実在感などとも表現できると思います。
また、自分自身で一番驚いたことはライブ動画を視聴したときにNR1200では全く気にならなかったハイハットの揺らぎがMODEL40nでははっきりと分かり演奏に没入できなかったという体験です。
おそらくNR1200ではハイハットの芯の音を鳴らし切れておらず、MODEL40nになったことでしっかりと基音が再生されてリズムの揺れが認識されたのだと思います。
同じようにアコギのフィンガースタイルやピアノのハンマーが弦を打った時の音などでもMODEL40nの再生能力の高さを感じました。
低域の厚みとスピード感も十分で非常にバランスの良いハイレベルなサウンドです。
演奏の細かい部分までしっかり描写するMODEL40n
マランツ ネットワークプリメインアンプ MODEL40N/FN
MARANTZ(マランツ)プリメインアンプMODEL 40nの評価
MODEL40nの実売価格は約25万円。
HDMIでテレビの音質をアップすることができ、ネットワークプレイヤー要素も入った機材としては安すぎる価格設定に思えてきます。
もちろんプリメインアンプとしての性能も抜群で、スピーカーが30万円~60万円ほどのクラスの場合には音の好みはあるとしてもクオリティー自体に不満に感じることは無いと思います。
見た目もスタイリッシュでリビングオーディオ用の機器として大推薦です。テレビとのコーディネートとしてはブラックボディーがおすすめです。
マットな質感にフロントパネルに仕込まれた照明など細かいところまでこだわりが詰まっています。
サウンドの傾向としては中低域の厚みが好きな方に全力でおすすめできます。ファット&ドライな印象で同時に解像度も高いという変わった立ち位置です。
曲作りをされる方には伝わると思いますが音の質感としてはアナログ機材で音作りするときのようなフィーリングを感じました。
見た目だけでなく中身も現代的なMODEL40nは今のオーディオシーンにマッチする素晴らしいプロダクトだと思います。
機能性と音質、見た目が高いレベルで融合した製品
マランツ ネットワークプリメインアンプ MODEL40N/FN
MARANTZ(マランツ)プリメインアンプMODEL 40nにおすすめのスピーカー
MODEL40nに組み合わせるスピーカーはどんなものでも良いと思いますがせっかくならハイレベルなものを用意したいです。おすすめをいくつかピックアップします。
B&W(Bowers & Wilkins)ブックシェルフスピーカー603s2 Anniversary Edition
この組み合わせは価格と音質のバランスていったら最高の組み合わせだと思います。
ご試聴できる環境があればぜひ実際に音を聴いていただきたいです。
B&W(Bowers & Wilkins)ブックシェルフスピーカー805d3
805d3は非常に高い再生能力を持ったスピーカーです。リアルな声の質感や厚みがあって実在感を感じる中低域。スピード感も艶感もあって鳥肌が立ちます。
価格別おすすめスピーカー
価格帯別におすすめスピーカーのカテゴリーページを作りましたので良ければ購入の参考にされてみてください。
最後に
最近の機材はどんどん品質が向上しているように感じます。開発するときには前のモデルを超えるようにエンジニアの方たちが頑張っているのでしょうね。
良い音で音楽を聴く。別の世界へ行く体験をする。
この文化がさらに発展していけば素晴らしいなと思います。
スピーカーやアンプのポテンシャルを引き出すセッティングに関する記事をまとめましたので合わせてご確認ください。
皆様が良い音楽と過ごせますように。