元オーディオショップ店員のイイネドットミー(@iine_me)です。
今回は2020年2月にリリースされたMATANTZのプリメインアンプPM12 OSEのレビューです。
記事の目次
MARANTZ(マランツ)プリメインアンプ PM-12 OSE試聴レビュー
2018年にリリースされた名作プリメインアンプPM-12の改良版がOM-12 OSEです。OSEとはオリジナル・スペシャル・エディションの頭文字をとっています。
基本的な構造はPM-12から変更はありません。
今回の記事では主に変更点のみのレビューとなりますのでオリジナルのPM-12をご存知ない方はPM12のレビュー記事からご確認ください。
MARANTZ(マランツ)プリメインアンプ PM-12 OSEの仕様
フロントパネル
フロントパネルはPM-12から変更はありません。
下の画像がオリジナルのPM-12ですが上部のトップカバーが変更されているのが分かるかと思います。
トップカバーは薄いスチール製から厚さ5mmの重量級アルミ製に変更されています。剛性アップと共に非磁性体のアルミを使うことで音質アップに貢献しているとの事。
リアパネル
リアパネルは見た目の違いも大きいですね。PM-12 OSEは銅メッキが施されたシャーシを採用しています。
これは上位機種のPM-10にも用いられた技術でS/Nの向上に貢献しています。
筐体の違いが音質に影響することは明らかですが、コストカットを考えれば中身をいじって筐体はそのまま流用する方が安く上がりそうです。今回の修正は筐体の部分に手を加えていることから、バージョンアップへの本気度が伺えます。
プリアンプの抵抗を変更
元から使われているパーツが高品質なのもが多く、リスニングテストの結果効果的だった部分だけが交換されているそうです。
PM-12 OSEではプリアンプ部に使用されている抵抗のうち17個が変更され金属皮膜抵抗に置き換えられています。これによりS/Nの向上と音場空間の拡大を実現したとの事です。
仕様
定格出力 | 200 W + 200 W(4 Ω、1 kHz、T.H.D. 0.1 %) 100 W + 100 W(8 Ω、1 kHz、T.H.D. 0.05 %) |
全高調波歪率 | 0.005 %(100 W、8 Ω、1 kHz) |
周波数特性 | 5 Hz 50 kHz (±3 dB、CD、1 W、8 Ω) |
ダンピングファクター | 500(8 Ω、20 Hz – 20 kHz) |
入力感度/入力インピーダンス | PHONO(MC)250μV / 100 Ω、PHONO(MM)2.3 mV / 39 kΩ、CD / LINE 220 mV / 13 kΩ、POWER AMP IN 1.1 V / 13 kΩ |
PHONO最大許容入力 | MC 8 mV(1 kHz)、MM 80 mV(1 kHz) |
RIAA偏差 | ±0.5 dB(20 Hz – 20 kHz) |
S/N比(IHF Aネットワーク、8Ω) | PHONO(MC)75 dB(0.5 mV入力)、PHONO(MM)88 dB(5 mV入力)、CD / LINE 107 dB(定格出力) |
音声入力端子 | アンバランス × 5、PHONO × 1、POWER AMP IN × 1 |
音声出力端子 | RECアウト × 2、ヘッドホン × 1 |
その他入出力端子 | マランツリモートバス(RC-5)入出力 × 1、F.C.B.S.入出力 × 1 |
消費電力 | 130 W |
待機電力 | 0.2 W |
最大外形寸法 | W440 x H127 x D453 mm |
質量 | 15.7 kg |
付属品 | 取扱説明書、リモコン(RC005PMSA)、ショートプラグ × 2(PHONO)、単4形乾電池 × 2、電源コード |
MARANTZ(マランツ)プリメインアンプ PM-12 OSEの音質レビュー
Marantzらしいすっきりとしたバランスに中高域のみずみずしさや空気感が非常に魅力的なサウンドです。
空気の震えや倍音成分などハッキリと見えない部分がしっかりと再生されているので鳴った瞬間に感じられる上質感が違います。バランスとしてはローがすっきりとまとめられているので自然と中高域にフォーカスが向かいます。
S/Nの高さも関係していると思いますが鳥肌、感動の演出がうまく、音楽の中に感じる静けさの表現が圧倒的です。
スピーカーやソースによっては少しミドルが強いように感じましたがおそらくそれはスピーカーの癖です。B&Wなどのバランスの整ったスピーカーと組み合わせると素晴らしい再生能力を発揮します。
MARANTZ(マランツ)プリメインアンプ PM-12 OSEの評価
PM-12の実売価格が25万円ほどでしたがPM-12 OSEは33万円程度と約8万円の価格アップ。この価格を高いとみるかどうかですが音質が向上しているのは確実です。
特に中高域の潤い感が向上しているので私の好みのサウンドではあります。
オリジナルのPM-12は廃盤となり代わりに同価格帯でマランツの新ライン MODEL30がリリースされた感じですね。MODEL30と同時に試聴しましたが、私の好みはPM-12 OSEでした。
しかしキャラクターがかなり違うのでどちらが上とは言えずMODEL30の方がお好きな方もたくさんいらっしゃるのではと思いました。
中低域の解像度が高くクッキリと描写するMODEL30に対して低域はすっきりで空気感と艶を表現するPM-12 OSEといった違いです。
好みに合わせて選べる良いラインナップが揃っていると思います。
MARANTZ(マランツ)プリメインアンプ PM-12 OSEにおすすめのスピーカー
B&W(Bowers & Wilkins)603s2 Anniversary Edition
試聴時に組み合わせたスピーカーの中で一番相性が良かったように感じます。
解像度が高くクリアな中低域。旧603に比べてローの締りも良くなっているように思います。PM-12 OSEとのマッチングも良く上品なバランスで聴かせます。
603s2 Anniversary Editionのレビュー記事はこちら↓
B&W(Bowers & Wilkins)705S2
603s2 Anniversary Editionと比べてさらに高域の華やかさのランクが上がります。
全体域のバランスも素晴らしく、20万円台の価格レンジで最高のスピーカーの一つです。
B&W 705s2のレビュー記事はこちら↓
DALI(ダリ) EPICON2(エピコン2)
B&Wの2機種に比べるとゆったりと余裕がある鳴りっぷりです。
独特の艶感、濃密さが感じられるオリジナリティーのあるサウンドです。
DALI EPICON2のレビュー記事はこちら↓
最後に
MODEL30を聞いたときに「すごく良いんだけど何か少し物足りない。。」と感じた不満の正体が高域の空気感だったとPM-12 OSEを聴いて気付きました。
最近思いますが趣味性の高いものは興味の無い人には違いが分からないような些細な違いも好きな人にはとても大きな変化と感じますね。
「車」「カメラ」「時計」「映像」は「走ればいい」「撮れればいい」「見れればいい」という人とそれを楽しむ人では必要なものが変わります。
せっかく音楽やオーディオに意識を持ったなら音質にはとことんこだわりたいですね!それが私たちにとって人生の質、QOLを高めるものであることは疑いようもありません!
スピーカーやアンプのポテンシャルを引き出すセッティングに関する記事をまとめましたので合わせてご確認ください。
皆様が良い音楽と過ごせますように。