ELACのスピーカーCARINAシリーズのBS243.4のレビューです。価格を抑えつつ特徴的なJETツイーターを採用したモデルです。
記事の目次
ELAC(エラック)スピーカーCARINA BS243.4レビュー
「CARINA」シリーズはアンドリュー・ジョーンズ氏がJETツイータを採用して開発したモデルとして注目されました。
アンドリュー・ジョーンズ氏はKEFで11年、INFINITYで3年、TADでは17年に渡り数々のスピーカーを生み出してきたエンジニアです。2015年にELACに移籍し「Debut」「ADANTE」「 Uni-Fi SLIM」シリーズのスピーカーを設計してきました。
今回のシリーズで初めてJETツイーターを採用し、ELACらしいサウンドのスピーカーをアンドリュージョーンズ氏が設計することになりました。
全3機種のラインナップでトールボーイの「FS247.4」ブックシェルフ「BS243.4」センタースピーカー「CC241.4」がラインナップされています。
ELACの代名詞でもあるJETツイーターをA・ジョーンズが初採用
ELAC(エラック)スピーカーCARINA BS243.4の仕様
JET folded ribbonツイーター
ELACの代名詞とも言えるJETツイーターですがそもそもJETツイーターとはどんなものでしょうか?
JETツイーターは細かくアコーディオン状に折りたたまれた部分(ブリーツ)にアルミを蒸着したツイーターで「ハイルドライバー」と言われる構造です。
ハイルドライバーとは1970年代にアメリカでオスカーハイル博士により開発されたのでそのように名付けられました。リボンツイーターの一種ですが動作方式が特殊で電流を流すとブリーツが開閉し空気を圧縮・放出する方式です。
一般的なユニットは振動板を前後に動かし空気を震わせて音を出しています。
それに対しハイルドライバーは圧縮された空気が発射されてくる構造からも想像できるようにハイスピードで立ち上がりの早い表現が可能です。
横から空気を挟み込み前に押し出すという方式は丁度でんじろう先生の空気砲みたいなイメージでしょうか?
CARINAに採用されたツイーターはJET folded ribbon(ジェットフォールデッドリボン)とされていますが従来のJETツイーターのパフォーマンスを保ちながらコストダウンを目指したそうです。
folded ribbonとは折りたたまれたリボンという意味で構造を表現しているだけなので単に上位機種との差別化で名称を新たに作っただけのようですね。
広い表面積から高速で圧縮発射される高音は高解像度で臨場感に溢れます。
高級機種でしか採用されることのないハイルドライバーがこの価格帯で使われているのは非常に魅力的です。
JETドライバーによりハイスピードな高音の実現
コンパウンド・カーバチュア(複合曲率)135mmアルミニウム・コーンウーハー
新設計の振動版はアルミ素材を採用しています。
アルミは1円玉の素材で落としてもあまり響かないことからも分かるように共振しにくい素材です。ウーファーのユニットは独特な形状をしておりこれにより分割振動の周波数をコントロールして可聴域の周波数特性をフラットに近付けているようです。
※分割振動とは本来の入力信号と再生音の差異(歪)を生み出すものでそれにより周波数特性にピークやディップが生まれます。
バイワイヤリング対応
スピーカー端子はハイ、ローの2系統ありバイワイヤリングが可能です。しっかりしたつくりで安心感があります。
このクラスのスピーカーはぜひバイワイヤリングで楽しみたいですね。
バスレフポートは底面に配置されているので背面の壁との距離があまりとれない場合も影響が少ない設計です。
ELAC(エラック)スピーカーCARINA BS243.4音質レビュー
JETツイーターのハイスピードで高解像度な高域を期待していましたが、第一印象はまとまったバランスの良いサウンドに感じました。
リアルな生々しい音像というより上品で、かつ明るく明瞭、艶のある音質です。立体感や定位感も素晴らしくスペースの広がりも感じます。荒さや尖ったところが無いので非常に聴きやすいサウンドです。
低音域はキレが良くパワーも感じるので不足はありません。音の粒はしっかりと芯を保ちつつ飛んでくるのでとても気持ちよいです。
繊細さも力強さも表現できる懐の広さはスピーカーとしての能力の高さを感じさせます。
JETツイーターの明瞭な高音域と歯切れの良い低音
ELAC(エラック)スピーカーCARINA BS243.4の評価
「手の届くハイエンド」というキャッチコピーでしたが、実売価格15万円台からという価格を考えると確かにそれも納得です。
明るくエネルギッシュで情報量も多いサウンドと角が取れた見た目とエンクロージャーの工夫。見た目も素敵だと感じますしリビングや書斎に設置した場合の満足感も高いと思います。
この価格帯はしっかりした作りで素晴らしいスピーカーも多い反面、悪くは無いですが特徴を感じない普通のスピーカーもあります。
CARINA BS243.4はどれくらい人気がある製品なのか分りませんが個人的には十分おすすめできるプロダクトです。元々ELAC製品には良いイメージを持っていますが今回も良いスピーカーを世に放ってくれたと思います。
高性能なブックシェルフスピーカーをお探しの方はぜひ候補に入れてください。
ELAC(エラック)スピーカーCARINA BS243.4におすすめのプリメインアンプ
マランツPM8006
マランツのPM8006はデジタル入力を持たない純粋なアナログプリメインアンプです。バランスの良いすっきりとしたサウンドで高域の解像度も高いのでBS243.4との相性も良いと思います。
価格的にも10万円程度でバランスが取れているのでおすすめです。
TEAC(ティアック) AX-505
TEACのAX-505はコンパクトサイズながら抜群の再生能力を備えたプリメインアンプです。クリアで解像度の高いサウンドは空気感や艶感も感じられBS243.4と音の雰囲気がマッチすると思います。
コンパクトなボディと高音質で質の高いデスクトップ環境も構築できます。価格は14万円前後です。
DENON(デノン)PMA-1600NE
DENONのPMA-1600NEは鮮やかで広がりのある中高音とパンチのある中低音が魅力です。USB-DACも内蔵なので幅広いリスニング環境に対応できます。
価格も11万円前後とBS243.4と良いバランスです。
最後に
ELACのJETツイーターを搭載したブックシェルフスピーカー BS243.4のご紹介でした。
価格と音質のバランスも良く魅力的なプロダクトです。素敵な音楽ライフの相棒として十分な実力です。
今お持ちのスピーカーやアンプも使い方次第でさらに良い音を楽しめるかもしれません。ポテンシャルを引き出すセッティングに関する記事をまとめましたのでぜひ合わせてご確認ください。
皆様が良い音楽と過ごせますように。