元オーディオショップ店員のイイネドットミー(@iine_me)です。
KEFのブックシェルフスピーカーLS50Metaを試聴しました。KEFは以前から好きなメーカーの一つですがこのモデルも個性的で素晴らしい仕上がりでした。
記事の目次
KEFブックシェルフスピーカーLS50 Meta試聴レビュー
LS50 Metaは元BBCのエンジニア、レイモンド・クックによって1961年に設立されたイギリスの名門スピーカーメーカー「KEF(ケーイーエフ)」のブックシェルフスピーカーです。
2020年10月にリリースされたLS50 Metaには元となるLS50というスピーカーがあります。LS50は2012年にKEF50周年のアニバーサリーモデルとして限定リリースされたもので、BBCで使用されていたLS3/5aというスピーカーを現代の技術力で再現することを目指して開発されました。
KEFのお家芸の同軸2Wayドライバ「Uni-Q」を採用し、優れた定位感や音場表現が評価され非常に人気のモデルとなりました。そしてLS50の生産完了後も多くのファンの声に応える形で定番ラインナップとしてLS50 Standardが2013年にリリースされます。
人気シリーズとなったLS50シリーズはラインナップを拡大し、アンプ内蔵でワイヤレス接続にも対応したLS50 Wirelessというアクティブスピーカーも生まれました。
LS50 Metaは様々な改良が加えられ、より現代的でフラットな音響特性を実現した期待のスピーカーです。
ちなみに「LS50 Wireless」も後継機種の「LS50 WirelessⅡ」となり2020年末にリリースされています。
人気商品のフルモデルチェンジで注目の作品
KEFブックシェルフスピーカーLS50 Metaの仕様
新型Uni-Qドライバー採用
同軸2Way(高音と中低音を再生するそれぞれのドライバーの中心が同一になっている方式)のUni-Qドライバーが改良を重ね第12世代になりました。
第12世代のUni-Qドライバーを特徴付ける革新的な技術として採用されたのが「MAT」という方式です。
MATとはMetamaterial Absorption Technologyの頭文字をとったものです。Metamaterial (メタマテリアル)とは人工的に作られた素材の名称でAbsorption Technology(吸収する技術)と名付けられています。
おそらくLS50 Metaの「Meta」はMetamaterial からとられたものですね。
下の動画でMATの概念や技術的な解説が行われていますが非常に興味深いです。日本語字幕も表示可能なのでぜひご覧ください。
動画の内容を要約すると、狙った音響特性を持つ素材を生み出し、様々な帯域に効果のある吸音の為の空気の迷路を作り、ドライバーの背面に発生する600Hz以上の帯域のノイズを99%吸収するといったことが語られています。
この内容から現在の技術力やノウハウを詰め込んだ非常に高度な設計が行われていることが確認できます。この努力の結果、付帯音の少ないクリアなサウンドが実現されています。
MATは大きな技術革新。ノイズの無いクリアサウンドを実現
キャビネットカラー
キャビネットはカーボン・ブラック チタニウム / グレイ ミネラル / ホワイト スペシャルエディション / ロイヤル・ブルーの個性的な4色展開。
ボディーカラーに合わせてドライバーのカラーをコーディネートする演出が素晴らしいです。
おしゃれでハイセンスな見た目なので従来のオーディオファン以外にも響きそうですね。
音質だけでなく見た目にもこだわりの詰まった作品
仕様
モデル LS50 Meta
デザイン 2ウェイバスレフ型
使用ユニット Uni-Q ドライバーアレイ:
HF: 25mm (1 in.) Metamaterial Absorption Technology搭載ベンテッド アルミニウムドーム
MF/LF: 130 mm (5.25 in.) アルミニウムコーン
クロスオーバー周波数 2.1 kHz
周波数特性(-6dB) 47 Hz – 45 kHz
ベースレスポンス(-6dB) 26 Hz
周波数応答 79 Hz – 28 kHz
高調波歪 <0.4% 175 Hz – 20 kHz
<0.1% 300 Hz – 10 kHz
最大出力 106 dB
推奨アンプ出力 40-100 W
公称インピーダンス 8 Ω (min. 3.5 Ω)
感度 85 dB
重量* 7.8 kg (17.2 lbs.)
寸法*
(高さ x 幅 x 奥行き、ターミナル部分含む)
302 x 200 x 280.5 mm キャビネット
(11.9 x 7.9 x 11.0 in.)
KEFブックシェルフスピーカーLS50 Metaの音質レビュー
LS50 Metaは比較的パンチがあり派手な印象のスピーカーです。キレが良く非常にクリアなサウンドでレンジはそこそこ、キラキラしたスーパーハイやどっしりと沈み込むような低音は出ていませんがそれがこのスピーカーの特徴をうまく作っていると思います。
そして艶感のあるウェットなサウンドではなく適度なドライ感と力強さを感じるキャラクターなので、しっとりした繊細な曲も元気の良い楽曲も合いそうだなと思いました。粒立ちがよく、芯のある音が気持ちよく飛んでくる印象です。
音場表現については独特で、同軸ユニットならではの定位感は素晴らしいですが、縦方向のサウンドステージはあまり広くありません。しかし奥行きの表現というか楽器の前後感などは秀逸で普通のマルチウェイスピーカーとの違いを明確に感じました。左右の広がりも十分で団子状態になることは無く、音の分離が素晴らしいです。
また、中高音のつながりや自然な表現力は抜群で音の余韻やボーカルの息遣いもしっかりと描き切ります。
キレが良くナチュラルで元気の良いサウンド
KEFブックシェルフスピーカーLS50 Metaの評価
私の個人的な趣向は繊細で艶のあるスピーカーが好みなのでLS50 metaのサウンドは本来のその好みからは外れるのですが、珍しく自分好みのサウンド以外で気に入ったスピーカーです。
ペアで16万円程度の価格はコスパ的にはそこそこかなという印象ですが、同じようなキャラクターのスピーカーは思いつかないのでこのサウンドが好みの方には他に選択肢はないくらいハマると思います。
比較的パワフルなサウンドで付帯音が少なくクリアネスも十分なので映画鑑賞などにも合うと思います。
LS50 Metaは現代的な解像度の高さと共に時代に左右されないオーディオの芯の部分をしっかりと抑えた名作だと思います。
家電量販店などでも展示してあることが多いモデルなのでぜひ試聴していただきたいスピーカーです。
LS50 Metaでしかできない表現がある
KEFブックシェルフスピーカーLS50 Metaのスタンド
LS50 Metaの再生能力を最大限発揮するにはスピーカースタンドにも気を使いましょう。
スピーカースタンドを使うことにより付帯音が軽減され見通しの良いサウンドが得られます。おすすめはKEFの専用スタンド「S2 Floor Stand」です。
スタンドとしては珍しくカラバリも豊富なのでスピーカーのカラーに合わせてコーディネートが可能です。
純正スタンド以外で検討したい方はスピーカースタンドのおすすめ記事を参考にされてください。
KEFブックシェルフスピーカーLS50 Metaにおすすめのアンプ
MARANTZ (マランツ) MODEL30
MODEL30はマランツのニューコンセプトで生まれたプリメインアンプ。中低域の厚みとクリアさが特徴的。
コンパクトでスタイリッシュなMODEL30とLS50 Metaとの組み合わせは音も見た目も最高です。
リビングにこのペアでセットが組まれていたらめちゃくちゃおしゃれですね。
音の相性も良く、全帯域の解像度が高く見通しの良いサウンドが楽しめます。
MODEL30の個別記事はこちら
TEAC(ティアック) AX-505
LS50Metaの見た目のスタイリッシュさに引っ張られているような気がしますがTEACのAX-505とも相性が良いと思います。
AX-505はコンパクトなボディーに驚きの駆動能力を備えたプリメインアンプで、色気や表現力も感じられる素晴らしいモデルです。
こちらもリビングオーディオにおすすめな組み合わせです。
AX-505の個別記事はこちら
LUXMAN(ラックスマン)L-550AXII
フルサイズのアンプなら私の大好きなA級プリメインアンプL-550AXⅡをおすすめします。
LUXMANの中でもバランスが良く適度な厚みと艶、色気を感じます。
以前L-505uXⅡのレビュー記事を書きましたがA級のL-550AXIIよりAB級のL-505UXⅡの方がさらに厚みがありました。L-550AXⅡは中低域が程よくシェイプされてレンジは広がり高域の空気感や表現力が抜群でした。
価格帯別プリメインアンプ
他にもおすすめのアンプはたくさんあるのでレビュー記事を価格別にまとめてみました。
参考になれば幸いです。
価格帯別スピーカーレビュー
金額に応じてある程度クオリティーの向上が見込まれるのがオーディオ機器です。
必ずしも価格とサウンドが一致する訳ではないですが、予算に応じてスピーカーが選べるように金額別のカテゴリー分けをしています。
他のスピーカーも気になるという方は下のリンクからご確認ください。
最後に
LS50Metaは見た目のモダンでスタイリッシュな雰囲気と現代の技術力を投入し生まれたMATという次世代の方式を取り入れた素晴らしいプロダクトです。
10万円代のスピーカーを検討される方にはぜひお試しいただきたいです。
せっかくの機材も使い方次第で出る音は変わってしまいます。
スピーカーやアンプのポテンシャルを引き出すセッティングに関する記事をまとめましたので合わせてご確認ください。
皆様が良い音楽と過ごせますように。