元オーディオショップ店員のイイネドットミー(@iine_me)です。
DENONのHiFiコンポーネントNE(New Era)シリーズのプリメインアンプは2500NE 1600NE 800NE 600NEがラインナップされていますが1600NEだけレビューを書いていなかったので記事にしました。
記事の目次
DENON(デノン) PMA-1600NEとは?
DENONから2016年にリリースされたフルサイズのプリメインアンプ。DENONのプリメインアンプ「PMA-○○NE」のシリーズは2500/1600/800/600とラインナップされておりどれも価格以上のクオリティーと現代的なサウンドデザインでおすすめのアンプです。
今回はミドルクラスの1600NEのご紹介です。希望小売価格は¥150,000 実売価格で12万円台。コストバランスに優れたモデルです。このクラスの価格でライバルとしてはTEACのAX-505やYAMAHA AS-1100、MARANTZ PM8005あたりや真空管のTRIODE Luminous 84ですね。
YAMAHA AS-1100は高域が華やかで音の広がりを感じます。MARANTZ PM8005はすっきりとストレートなサウンドの印象。TRIODEは真空管独特のサウンドで私は大好きですが電源ONから本領発揮するまで時間がかかるのでリスニングの時間がしっかりとれる場合にはおすすめですが短い時間にさくっと聞きたいときは向かないかもしれません。TEAC AX505はとても優れたアンプですが音の傾向はフラットで高解像度、PMA1600NEはどっしりとしたサウンドデザインで低域の張りがあるので好みに合わせて選ぶと良いと思います。過去に記事を書いたものはリンクを貼っておきます。
DENON PMA-1600NE の仕様
フロントパネル
PMA-2500NEの高さをスリムにしたような形状。ボリュームノブの右側のディスプレイには入力ソースが表示されます。ソースダイレクトやアナログモードのボタンもあります。サイズはW434 x H135 x D410 mm 10万円前後のフルサイズのアンプとしては一般的な大きさだと思います。
リアパネル
スピーカー出力端子がABの2系統ありますがバイアンプ用の為、A/B切替はできず同時出力のみとなります。phono入力はMMとMCの切り替えができるようになっています。構造的に先代のPMA1500REからの大きな変更点としてはプリアウトがない事。このクラスのアンプのユーザー層を考え使われることの少ない回路をばっさり切り捨て回路をシンプルにすることで信号の引き回しやスイッチを減らして音質向上に貢献しています。1600NEの基本的な設計はアナログ部分は1500REをブラッシュアップしてデジタル部分(USB-DAC)を2500NEから流用して搭載したモデルといえます。
DSD / ハイレゾ対応USB-DAC搭載
DSD 11.2 MHzおよびPCM 384 kHz /32 bitの入力信号に対応するUSB-DAC機能を搭載しておりデジタルソースの入力で不満を感じることはありません(光デジタル、同軸デジタル入力は192 kHz / 24 bitまで対応)。デジタル入力時は録音時のデジタル処理により失われたデータ補完アルゴリズムによりアナログ波形を再現する技術「Advanced AL32 Processing Plus」が搭載されています。試聴時にはアナログレコードとCDを確認しましたが、デジタル入力ではなくRCAで接続していたのでこの機能の実力は試していませんがDENONが採用する独自技術なので期待できます。
NEシリーズのタ機種同様デジタル回路を電源から遮断して完全なアナログプリメインアンプとして稼働させる「アナログモード」も搭載されているのでデジタル入力を使わないときのノイズの心配もありません。
電源回路
トランスを大型化し容量にも余裕を持たせUSB-DAC使用時の安定した電源供給を確保しました。電源の余裕は「アナログモード」時にもさらに音質アップに貢献しています。オーディオ好きな方は電源の安定供給こそ機材の正常な動作、ポテンシャルを引き出す大切なファクターと認識されているのでこのあたりはご納得だと思います。
DENON PMA-1600NEの音質レビュー
最近のDENONサウンドらしく音の密度が濃く張りがあってパワフルな印象。ボトムがどっしりと安定していてその上に鮮明で美しい高音が広がります。キレが良く元気なサウンドでJAZZやロック、打ち込み系のサウンドや音数の少ないインストまで幅広い音楽が気持ちよく聴けると思います。パワーもあるのでミドルクラスのスピーカーも問題なく鳴らせます。一つの売りでもあるUSB-DACの音は確認していないのでアナログ入力時のみの評価です。デジタル入力を使う想定であればさらに評価は良くなる可能性が高いので予算的に10万円代でプリメインアンプを検討している方にはおすすめできます。
DENON PMA-1600NEの評価
上位機種の2500NEや下位モデルの800NEとの比較では音の傾向は似ていますがそれぞれ価格差なりのクオリティー格差を感じます。2500NEのレビュー記事でも書きましたが1600NEの時点でかなり完成された音なのでこれだけ単体で聴くと不満はありません。しかし2500NEはさらにその先の世界へ連れて行ってくれる圧倒的な説得力を感じました。ただ音のことだけを比べると2500NEが有利ですが価格差を考えると1600NEの方が多くの方におすすめできるプリメインアンプなのも事実。
下位モデルの800NEとの比較ではさらに大きな変化を感じます。本格的なオーディオの入り口を感じられるのは1600NEです。しかし当然800NEの最安で5万円を切る実売価格は圧倒的なコストパフォーマンスです。価格を考えると全く不満がないどころか安すぎると思います。DENONやMARANTZ(D&Mグループ)のプリメインアンプは規模の大きさ(大量生産によるコスト削減)から考えてもこれからオーディオを始める方にとってはコスト面で一番安心できる選択肢だと思います。PMA-NEシリーズのサウンドデザインがお好きな方は予算に合わせて2500NE / 1600NE / 800NE / 600NEを選ぶだけで良いと思います。正直どれを選んでも価格以上の満足度が得られる絶妙なプライシングだと思いました。
DENON PMA-1600NEにおすすめのスピーカー
PMA-1600NEはプリメインアンプとしてとても優秀でパワーもあり正確な音楽表現ができるのである程度ハイスペックなスピーカーでも問題ありません。おすすめのスピーカーを紹介したいと思います。
DALI OPTICON6
DALIのOPTICON6は中高音の艶や響きが美しくバランスの良いスピーカーです。PMA-1600NEとの組み合わせでは低音の張りもあるので非常に気持ちよく鳴らせます。価格帯のマッチング的にもバランスが取れていると思います。
KEF Q750
同軸ユニットならではの定位の良さと空間表現に優れたスピーカーです。ウーファーが3つついているように見えますがそのうち2つはパッシブラジエーターというものでネットワークにはつながっていません。バスレフタイプに比べ自然な低域が特徴です。
MONITOR AUDIO Silver 100
高域のツイーターの出来が素晴らしく澄み渡る高音を出してくれます。ブックシェルフですが低音も深くキレの良いサウンドを出すのでPMA-1600NEとの相性も良いと思います。ブックシェルフならではのビシッと決まる定位としっかりはっきりした音がお好みの方におすすめです。
最後に
PMA-1600NEはフレッシュで元気の良いDENONサウンドを体現する優れたアンプです。価格以上の音質を得られ購入された方の満足度も高いと思います。特にUSB-DACは上位機種のものを流用しているのでデジタル入力が必要な方にはかなり魅力的なプロダクトだと思います。
せっかくの機材も使い方次第で出る音は変わってしまいます。スピーカーやアンプのポテンシャルを引き出すセッティングに関する記事をまとめましたので合わせてご確認ください。
皆様が良い音楽と過ごせますように。